防衛省統合幕僚監部は、2024年度上半期の緊急発進(スクランブル)の実施状況について発表しています。期間中のスクランブル回数は358回で、昨年度の同時期(424回)よりも約70回減少しています。
スクランブル回数の対象国・地域別にみると、最多は中国の241回で、全体の約7割を占めています。昨年度の同時期(304回)よりも約60回減少しているものの、2013年度以降の実績と比較すると平均的な水準です。続いて多いのがロシア機の115回で、昨年度同時期(110回)比で微増。こちらも、2013年度以降でみると平均的な水準に当たります。中国・ロシア両国ともに、Y-9型機やIL-20型機といった情報収集機に対して最も多くスクランブルを実施しており、無人機も多数確認されています。なお、昨年度発生していた台湾・北朝鮮機に対してのスクランブルは、2024年上半期には実施されていません。
航空方面隊別にみると、最多は南西航空方面隊(那覇基地)の211回で、次いで北部航空方面隊(三沢基地・千歳基地)の90回、西部航空方面隊(築城基地・新田原基地)の45回でした。
期間中、8月には中国空軍のY-9が長崎県男女群島沖の領海上空で、9月にはロシア軍のIL-38哨戒機が北海道礼文島北方の領海上空で、それぞれ領空を侵犯。このうち、ロシア空軍機に対しては、対領空侵犯措置を開始してから初となるフレアによる警告を実施しています。
スクランブルの対象となった機体の飛行パターンを見ると、中国機は東シナ海および台湾の東方に集中しています。一方でロシア機は、日本海およびオホーツク海などを飛行することが多く、一部には日本海から沖縄を経由し、日本列島を一周している事例もみられます。