T-4ブルーが仲間入り! 「さくら祭」で見られる空自・熊谷基地の保存機まとめ

T-4ブルーが仲間入り! 「さくら祭」で見られる空自・熊谷基地の保存機まとめ

ニュース画像 1枚目:熊谷基地 2012年4月8日撮影 60-8273 三菱 F-1 航空自衛隊
© FlyTeam kanade/Ryo@S.O.R.A.さん
熊谷基地 2012年4月8日撮影 60-8273 三菱 F-1 航空自衛隊

「熊谷基地さくら祭 2025」が、2025年3月29日(土)に埼玉県の航空自衛隊熊谷基地で開催されます。今年の目玉は、同基地内に新たに設置され、一般初公開となるT-4ブルーインパルス4号機「機体記号:46-5729」。ブルーのお披露目にも注目ですが、熊谷基地にはそれ以外にも4機の機体が展示されています。今回は、熊谷基地の保存機たちをまとめてご紹介します。

【基地正門周辺の4機】

正門を入ってすぐ右手には、新たにお披露目されるT-4ブルーインパルス機。左手には航空自衛隊の創成期に活躍したF-86DおよびF-86F戦闘機、T-33A練習機が展示されています。

<初公開のブルーインパルス機:T-4 (46-5729)>

初公開のブルーインパルスカラーのT-4は、4号機「機体記号:46-5729」です。同機はブルーインパルス専用機として1994年に納入され、約23年もの間、全国で展示飛行を実施。2018年3月に用途廃止(用廃)となりました。熊谷基地には2024年10月に搬入され、2025年2月には公式Xで本部庁舎前の土台に設置された旨が公表されています。国内には本機を含めて4機のT-4ブルーインパルス機が展示機となっていますが、屋外に展示されているのは同機のみ。今回のさくら祭が初のお披露目の機会とあって、注目が集まりそうです。

ニュース画像 1枚目:岩国空港 2017年5月5日撮影 46-5729 川崎 T-4 航空自衛隊
© FlyTeam ちゃぽんさん
岩国空港 2017年5月5日撮影 46-5729 川崎 T-4 航空自衛隊

ブルーインパルス機の見どころは青と白の機体塗装だけではありません。注目は機体右側のエンジン排気口付近にある銀色のノズル。これはスモークを発生させる装置です。ブルーインパルス用のT-4にはスモークの元となるオイル用のタンクがあり、ノズルの先端からオイルを噴射、オイルが排気熱で不完全燃焼を起こすことで白いスモークとなります。ブルーインパルス機の開発当初には、見栄えのよいスモークを生み出すために、オイルの噴出位置や量に関して検討がなされたとのこと。この小さな銀色のノズルには、そんな試行錯誤の成果が詰まっています。

ニュース画像 2枚目:三沢飛行場 2016年9月11日撮影 46-5729 川崎 T-4 航空自衛隊
© FlyTeam フォレストさん
三沢飛行場 2016年9月11日撮影 46-5729 川崎 T-4 航空自衛隊

<シャチホコに黄色い帯:F-86D (84-8128) >

F-86Dは航空自衛隊の創成期に米空軍から122機が供与され、千歳基地と小牧基地に配備された機体。また岐阜基地の実験航空隊(当時)にも若干数が配備されていました。機首にレーダーを備えた全天候戦闘機ですが、武装はコクピット下方の胴体下に見えるパッケージに収まった24発のロケット弾のみという、現代の目で見ると一風変わった戦闘機でした。この展示機は1968年に用廃となっており、国内に約20機が保存されているF-86Dのうちの1機。垂直尾翼には、かつて小牧基地にあった第3航空団第102飛行隊のトレードマーク「シャチホコマークに黄色い帯」が描かれています。なおキャノピーは劣化したために黒く塗りつぶされています。

ニュース画像 3枚目:熊谷基地 2013年4月7日撮影 84-8128 ノースアメリカン F-86D-31 セイバー 航空自衛隊
© FlyTeam りんたろうさん
熊谷基地 2013年4月7日撮影 84-8128 ノースアメリカン F-86D-31 セイバー 航空自衛隊

<ジェット練習機:T-33A (51-5609)>

航空自衛隊では1955年から1991年3月まで、パイロット養成を目的にT-33Aを運用。後継機であるT-4の登場後も各部隊で訓練支援等に使われていましたが、1999年11月に発生した墜落事故がきっかけとなって全機が退役しています。展示機は1955年にアメリカから供与された68機のうちの一機で、1964年に用廃となりました。T-33Aは現在も約40機が国内各地に展示されていますが、供与された当初と同様の書体で機首の3桁番号を描いているのは本機のみです。垂直尾翼には、当時入間基地に存在した総隊飛行司令部飛行隊のマークを描いています。また、この機体もキャノピーを黒く塗りつぶしています。

ニュース画像 4枚目:熊谷基地 2024年3月24日撮影 51-5609 ロッキード T-33A 航空自衛隊
© FlyTeam TA27さん
熊谷基地 2024年3月24日撮影 51-5609 ロッキード T-33A 航空自衛隊

<初代ブルーインパルスの使用機種:F-86F (82-7849)>

F-86Fは、航空自衛隊の創成期から1960年代の主力であった昼間戦闘機。初代ブルーインパルスの使用機種として知られ、機首に6丁の12.7mm機銃を備えています。展示機は、1958年に納入された三菱製の149番目の機体で、1961年に小事故を起こして飛行不能、翌年に用廃となりました。垂直尾翼には、T-33Aと同じ総隊飛行司令部飛行隊のマークが。この機体もキャノピーを黒く塗りつぶしています。

ニュース画像 5枚目:熊谷基地 2024年3月24日撮影 82-7849 三菱 F-86F-40 セイバー 航空自衛隊
© FlyTeam TA27さん
熊谷基地 2024年3月24日撮影 82-7849 三菱 F-86F-40 セイバー 航空自衛隊

【教育参考館(資料館)の周辺】

教育参考館(資料館)の近くには、戦後初の国産ジェット戦闘機F-1が展示されています。

<戦後初の国産ジェット戦闘機:F-1 (60-8273)>

超音速高等練習機T-2に対地・対艦攻撃能力を加えた、戦後初の国産ジェット戦闘機F-1。一般的には攻撃機もしくは戦闘爆撃機に相当する機体ですが、政治的な理由から日本独自の名称である支援戦闘機と呼ばれています。武装は20mm機関砲を備え、主翼下や胴体下には対艦ミサイルや爆弾等を吊るすことができました。また、翼端には空対空ミサイルを装着していました。展示機は1986年2月に航空自衛隊に納入され、2006年5月に用廃となった機体。垂直尾翼には、用廃時に配備されていた築城基地の第6飛行隊マークを描いています。
ニュース画像 6枚目:熊谷基地 2023年4月2日撮影 60-8273 三菱 F-1 航空自衛隊
© FlyTeam kahluamilkさん
熊谷基地 2023年4月2日撮影 60-8273 三菱 F-1 航空自衛隊

以上、熊谷基地さくら祭で見られる展示機を紹介しました。さくら祭では展示飛行が実施されない分、時間をかけて機体を眺めることができます。満開の桜とともに、保存機たちの姿や構造をじっくりと観察してみてはいかがでしょうか。

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