クーリング・リングの疲労亀裂が原因 ANAウイングスの重大インシデント

クーリング・リングの疲労亀裂が原因 ANAウイングスの重大インシデント

運輸安全委員会は2013年2月22日、ANAウイングス運航のANA1613便、ボンバルディアDHC-8-314、機体番号(レジ)「JA805K」の重大インシデントの調査報告書を発表しました。2011年6月27日、伊丹空港を離陸後、南西約50キロメートル、高度約2000メートルを上昇中、機体左側の第1エンジンから異音を発生、タービン温度が制限値を超過したことから、エンジンを停止して引き返し、午後5時18分に着陸したもの。

この重大インシデントは、離陸後の上昇中、No.1エンジンの燃焼室内のクーリング・リングの一部が疲労亀裂の進展で欠損。その破片が燃焼ガスと共に下流に入り込み、高速回転するタービン・ブレードなどに衝撃を与え、複数段のタービン・ブレードが全周にわたり破損したことが要因としています。

なお、このエンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダPW123Bで、製造年月日は2001年8月11日、総使用時間は13,076時間32分、総使用サイクルは19,818サイクルで、 燃焼室アウター・ライナーはオーバーホール品、HPTブレードは新品に交換後の使用時間は3,415時間58分、使用サイクルは4,820サイクルでした。

ANAウィングスではP&Wの助言から、使用中の同型式エンジン7台の内視鏡点検を行ったところ、1台の燃焼室アウター・ライナーにクーリング・リングの円周方向の亀裂を発見。P&Wでは損傷のあった2台のエンジンの燃焼室アウター・ライナーが同じ時期に修理されたもののため、修理工程の見直しを検討。エンジン・マニュアルの臨時改定も行っています。

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