宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2014年8月17日、「スポラディックE層空間構造の立体観測」を目的とした観測ロケットS-520-29号機を、鹿児島県にある内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。
ロケットは正常に飛翔し、搭載した実験装置の動作も正常に行われ、内之浦南東海上に落下、実験は成功しました。
スポラディックE層とは、地上からの高度が70から130キロメートルのE層内に出現する、プラズマ密度構造が局所的に高密度になっている領域のことです。今回の実験は、この領域を立体的に観測することで、その空間構造やプラズマ密度変動の生成メカニズムの解明を目的としています。
今回の実験では、ロケットに搭載したプラズマ測定用プローブが、ノーズコーン開頭後に測定を開始し、上昇時には高度97キロメートルに、下降時には高度100キロメートルに、スポラディックE層が存在していたことが観測できました。また、この間に紫外線イメージャが紫外領域の発光を観測できました。
ロケットに搭載されていた電波受信機も、上昇・下降時を通じて地上からの電波を受信し、電離圏下部に電子密度の高い層が存在していたことが確認されたとも発表されています。
今後、取得された観測データに基づいて、スポラディックE層の空間構造に関する詳細な解析が実施されるとのことです。