航空会社 ユナイテッド航空
- 国
- アメリカ
- IATA | ICAO
- UA | UAL
- メンバー評価
- 搭乗レビュー 3.48 [598件]
- アライアンス
- スターアライアンス
搭乗レビュー
#650 (I495) 着陸復行とキャプテンの矜持 (意地でも降ろすぜ、この機体)
- 口コミ投稿者
- westtowerさん
搭乗写真
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UA ボーディングパス
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ポンペイ出発時の雨が...
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チューク到着時には嵐に
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UA 機内誌 "Hemis... 続き
総評
【エピソード】
ポンペイ出発時に振り出した雨、離陸時もかなり揺さぶられましたが、次の寄港地 チュークに近づくにつれて不安定な大気の状態を実感できるような豪雨と強風へと変わっていきました。運悪く、南国特有のスコールの中のアプローチとなってしまったようです。
低く垂れこめた雲に遮られ降下中は視程ゼロ。こまめに調整されるエンジン・スロットル音を頼りに地上への距離を推測します。ピッチング、ヨーイング、そしてローリングにより3次元に大きく揺さぶられる状態が続きます。手に汗が滲み、不安が恐怖に変わるタイミングで、眼下数十メートルのところに白波を立てた海面が見えました。
しかしそこから、上昇気流に煽られた機体は上手く高度を下げることができません。滑走路端を過ぎても高度50フィート以上あったと思われます。チューク空港の滑走路長は1,831mしかありません。最悪条件下のB738の着陸には、最低でも1,500mは必要でしょう。たったの300mしかないマージンは瞬く間に通り過ぎてしまいます。
僕が「危ない、着陸は無理だ!」と思った瞬間と、キャプテンがゴーアラウンドを決心したタイミングは同時でした。その瞬間、エンジンが雄叫びをあげ、強烈なGでシートバックに背中が押し付けられ、ビリビリと内壁が振動するなか、機は一目散に再び上空へ舞い上がりました。それでも引く気配がない脇汗が恐怖を代弁しているようでした。
こんな体験は御免蒙りたいものです。チューク着陸は断念し最終目的地のグアムへ向かうことを望みました。しかし、上空で旋回し態勢を立て直したシップは、果敢にも再度着陸を試みる気配です。勿論安全基準に抵触してまで着陸することはないでしょう。しかし、安全基準内ギリギリの最悪のコンディションであることに変わりはありません。
上下前後左右に揺さぶられる絶叫マシンは再び高度を下げ、今度は滑走路端にドスンと着地、瞬間スポイラー全開で揚力を減殺させバウンドを防ぎ、摩擦力を得た車輪は濡れたアスファルトをグリップ。同時にエンジンが悲鳴をあげスラストリバーサーが作動、強烈な水しぶきが上がる中、着実に速度を落としていきます。
滑走路端のターニングパッドで折り返すときにも未だ、心臓の高鳴りは収まりませんでした。
チュークからグアムへのUA定期便は週に3便しかありません。搭乗率の高いTKK/GUM、当便への搭乗を待ちわびている人たちが、「この荒天の中、我々の乗る飛行機は来てくれるのか」と不安を抱えながら大勢待っていることでしょう。無事の到着がアナウンスされた搭乗待合室では、歓声が沸き上がったかもしれません。
「俺に任せろ、搭乗を待つpaxが一人でもいる限り、このシップを降ろして見せるぜ」
そんなキャプテンの使命感と矜持が垣間見えたフライトでした。拍手!
【搭乗機材】
ユナイテッド航空
レジ番: N39297
機種: B737-824
履歴:
2005年08月 初飛行
2005年11月 コンティネンタル航空(CO)登録
2010年10月 コンティネンタル航空 抹消
2010年10月 ユナイテッド航空(UA)登録
機齢: 11.7歳
エンジン: 2 x CFMI CFM56-7B26
コンディション: 機齢は古いがリノベーション済みで問題なし
リマークス:スプリット・シミタール・ウィングレット 追加装備
【機内概況・座席(シート)】
本機のコンフィグは4種あるUAのB738シリーズの中のバージョン4、ビジネスクラス16席、エコノミー・プラス42席、エコノミー108席の仕様。
自席は20A(Exit Row)
発券区分はY(S)ですが、スタアラ・ゴールド保持者は申請なしにプレエコが優先的にアサインされる模様です。プレエコのアブレストは3+3でエコノミー同様ですが、シートピッチ 86cm(エコノミー 76cm)、リクライニング 7cm(同 5cm)、座席幅 43.9cm(同 41.4cm)と明らかに快適性に差があります。
薄型のカチっとした仕上がりの合皮シートは、そのカラーリングも相まって完成度高し。
【機内食・ドリンク】
ドリンクサービスのみ(記録なし)
【エンターティメント&アメニティ】
フライトマップをつけっぱなし
【トイレ・洗面台】
使用せず
以上
ポンペイ出発時に振り出した雨、離陸時もかなり揺さぶられましたが、次の寄港地 チュークに近づくにつれて不安定な大気の状態を実感できるような豪雨と強風へと変わっていきました。運悪く、南国特有のスコールの中のアプローチとなってしまったようです。
低く垂れこめた雲に遮られ降下中は視程ゼロ。こまめに調整されるエンジン・スロットル音を頼りに地上への距離を推測します。ピッチング、ヨーイング、そしてローリングにより3次元に大きく揺さぶられる状態が続きます。手に汗が滲み、不安が恐怖に変わるタイミングで、眼下数十メートルのところに白波を立てた海面が見えました。
しかしそこから、上昇気流に煽られた機体は上手く高度を下げることができません。滑走路端を過ぎても高度50フィート以上あったと思われます。チューク空港の滑走路長は1,831mしかありません。最悪条件下のB738の着陸には、最低でも1,500mは必要でしょう。たったの300mしかないマージンは瞬く間に通り過ぎてしまいます。
僕が「危ない、着陸は無理だ!」と思った瞬間と、キャプテンがゴーアラウンドを決心したタイミングは同時でした。その瞬間、エンジンが雄叫びをあげ、強烈なGでシートバックに背中が押し付けられ、ビリビリと内壁が振動するなか、機は一目散に再び上空へ舞い上がりました。それでも引く気配がない脇汗が恐怖を代弁しているようでした。
こんな体験は御免蒙りたいものです。チューク着陸は断念し最終目的地のグアムへ向かうことを望みました。しかし、上空で旋回し態勢を立て直したシップは、果敢にも再度着陸を試みる気配です。勿論安全基準に抵触してまで着陸することはないでしょう。しかし、安全基準内ギリギリの最悪のコンディションであることに変わりはありません。
上下前後左右に揺さぶられる絶叫マシンは再び高度を下げ、今度は滑走路端にドスンと着地、瞬間スポイラー全開で揚力を減殺させバウンドを防ぎ、摩擦力を得た車輪は濡れたアスファルトをグリップ。同時にエンジンが悲鳴をあげスラストリバーサーが作動、強烈な水しぶきが上がる中、着実に速度を落としていきます。
滑走路端のターニングパッドで折り返すときにも未だ、心臓の高鳴りは収まりませんでした。
チュークからグアムへのUA定期便は週に3便しかありません。搭乗率の高いTKK/GUM、当便への搭乗を待ちわびている人たちが、「この荒天の中、我々の乗る飛行機は来てくれるのか」と不安を抱えながら大勢待っていることでしょう。無事の到着がアナウンスされた搭乗待合室では、歓声が沸き上がったかもしれません。
「俺に任せろ、搭乗を待つpaxが一人でもいる限り、このシップを降ろして見せるぜ」
そんなキャプテンの使命感と矜持が垣間見えたフライトでした。拍手!
【搭乗機材】
ユナイテッド航空
レジ番: N39297
機種: B737-824
履歴:
2005年08月 初飛行
2005年11月 コンティネンタル航空(CO)登録
2010年10月 コンティネンタル航空 抹消
2010年10月 ユナイテッド航空(UA)登録
機齢: 11.7歳
エンジン: 2 x CFMI CFM56-7B26
コンディション: 機齢は古いがリノベーション済みで問題なし
リマークス:スプリット・シミタール・ウィングレット 追加装備
【機内概況・座席(シート)】
本機のコンフィグは4種あるUAのB738シリーズの中のバージョン4、ビジネスクラス16席、エコノミー・プラス42席、エコノミー108席の仕様。
自席は20A(Exit Row)
発券区分はY(S)ですが、スタアラ・ゴールド保持者は申請なしにプレエコが優先的にアサインされる模様です。プレエコのアブレストは3+3でエコノミー同様ですが、シートピッチ 86cm(エコノミー 76cm)、リクライニング 7cm(同 5cm)、座席幅 43.9cm(同 41.4cm)と明らかに快適性に差があります。
薄型のカチっとした仕上がりの合皮シートは、そのカラーリングも相まって完成度高し。
【機内食・ドリンク】
ドリンクサービスのみ(記録なし)
【エンターティメント&アメニティ】
フライトマップをつけっぱなし
【トイレ・洗面台】
使用せず
以上
フライトログ
搭乗の詳細データです。
- 座席番号
- 20A
- 搭乗クラス
- PY
- 区間マイル
- 437
- 出発予定時刻
- 15:31
- 搭乗時刻
- 15:46
- 出発時刻
- 16:02
- 到着予定時刻
- 15:43
- 到着時刻
- 16:25
- 予定飛行時間
- 1:12
- 出発空港 天気・気温
- ☂
- 出発ゲート・スポット
- open
- 離陸滑走路
- 09
- 離陸時刻
- 16:12
- 到着空港 天気・気温
- Squall
- 到着ゲート・スポット
- open
- 着陸滑走路
- 04
- 着陸時刻
- 16:21
コメント
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無事のご帰還に心から安堵しました。
手に汗握るとはこのことですね、、3Dシアター並みの臨場感に固唾を飲んでご拝読させていただきました。確かになるべくなら経験したくはない状況ですが、これもフライトの現実。勉強になりました。
プロフェッショナルの責任感とプライドを間接的にシートで感じられるのは、飛行機の特権かもしれないですね。。
とにかくご無事で何よりです!!
コメントありがとうございます!
久々にビビりましたー(汗)
でも、こんな恐怖体験をしても飛ぶことが嫌いにならないのは、よっぽど鈍感なんでしょうかね(笑)
いつもご覧いただき感謝です。
Harry Lennonさんへ