NCA運航停止に調査報告書、経営陣含む全社的な対応求める

NCA運航停止に調査報告書、経営陣含む全社的な対応求める

日本貨物航空(NCA)は2019年1月31日(木)、2018年7月に国土交通省から受けた事業改善命令と業務改善命令に対し、長島・大野・常松法律事務所が参画した調査委員会による調査結果と再発防止策の提言を含む調査報告書を公表しました。

改善命令の原因となった整備部門の人員体制の強化、業務知識や経験の不足解消、コミュニケーションの円滑化などとあわせ、マニュアル遵守などコンプライアンス意識の向上、整備部門にとどまらず全社的に現場での問題を収集し、改善に結び付ける仕組みやリスクマネジメント体制の構築、社員の会社への帰属意識や一体感の醸成を図る管理・監督機能の強化などが指摘されています。

また、国際貨物航空事業は、特に外部要因に業績が大きく左右される事業で、整備体制の大幅な変更、運航便数の変更、新機種の導入などの経営判断には、より精緻なリスク分析を含む十分な準備と検討が必要と指摘されています。

このうち、すでに実施されているものを含め、整備生産規模に即し運航規模を縮小し、747-8Fの1機種体制、人員数・資格者数・稼働機材数の生産資源と運航規模の適正化、全日空(ANA)の出向による人的支援を受けた構造整備に関する知識や経験を有する整備士と各専門領域の間接部門スタッフを補完します。このほか、マニュアル遵守意識に留まらないコンプライアンス教育を全社的に展開します。

調査報告書では、NCAが747-8Fの購入契約の検討を進めた2003年度から2005年度、さらに導入決定後から実際に機体を受領する2012年7月まで、取締役会議事録や常務会議事録などを精査し、ローンチカスタマーとして新鋭機747-8Fを導入するリスクについて実質的な議論がされた様子は読み取れないと指摘し、当時のNCA経営陣は整備現場が直面するであろうリスクについて、十分な検討を行えていなかった可能性があると見ています。今回の調査は、こうした経営陣の対応についても不足を指摘し、役員を含む専門的な知識やアドバイスなどを適宜、求めることも重視した内容となっています。

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