航空局、日本貨物航空に事業改善命令と業務改善命令

航空局、日本貨物航空に事業改善命令と業務改善命令

国土交通省航空局は2018年7月20日(金)、日本貨物航空(NCA)に事業改善命令と業務改善命令を出し、NCAは8月17日(金)までに講じた措置を報告することが求められました。NCAが運航する航空機について、整備を委託していた整備会社から、航空機構造の損傷に対する不適切な整備が実施された事実が報告され、さらに航空局が類似事例の確認などをNCAに指示し、不適切な事実が他にも確認されていました。

これらの報告に基づき、5月22日(火)から5月24日(木)まで、5月29日(火)から5月31日(木)まで、6月4日(月)、6月6日(水)に航空法第134条に基づく立入検査を航空局が実施しました。NCAは航空機の構造修理以外、過去の整備記録を確認した結果、不適切な整備記録が確認されたことが報告されています。この整備の不備を受け、同社は全機を運航停止とする措置も実施しています。

整備関連では、航空法第104条第1項に基づく整備規程、第20条第2項に基づく業務規程等に基づかない不適切な整備が実施されたこと、整備記録を改ざんしていたことなどが判明しています。

航空局は、航空の安全に影響を及ぼす重大な違反行為で、自ら問題点を調査、原因究明の上で、適切に再発防止策を講じる安全管理システムが十分に機能していないと指摘しています。このため、現在の整備体制では、継続的な安全性が確保されないおそれがあるとして事業改善命令、業務改善命令を出しています。

航空局は、命令で(1)安全意識の再徹底とコンプライアンス教育の実施、(2)安全管理体制の適切な整備、(3)整備記録の適切な記録、(4)航空機構造に係る適切な整備の実施、(5)航空事故に該当する可能性のある損傷に関する適切な処置、(6)耐空証明の有効期間の変更に当たる航空機の健全性の確認、(7)当面の間、構造に係る整備等を行わないことを指示しています。

■主な問題事例
(1)JA11KZ:2017年1月21日、シカゴ発で機
 首上面に凹み。運航停止し必要な整備を実施
 しないまま運航。その後の整備は大修理に当
 たるも小修理として航空日誌に記載。国土交
 通省への報告も2018年5月17日になった。
(2)JA08KZ:2017年4月12日、関西へ飛行中
 に被雷。関西で整備持越しが行われたが、整
 備記録は明確性を欠いたもの。持越しを受け
 た成田の整備士が内部部門のメンテナンス・
 オペレーション・コントロール(MOC)に相談
 も明確な回答なし。適切な整備を実施せず運
 航を継続。2018年4月、5月に整備記録改ざ
 ん。
(3)JA08KZ:2018年1月21日、前縁フラップ
 の凹み発見時、周辺部の確認を実施しないま
 ま、運航を継続。この見落としは運航を直ち
 に停止し、必要な整備を行わなければならな
 い程度。
(4)JA13KZ:2018年3月28日、サンフランシ
 スコで整備中、鳥衝突が原因とみられる機首
 下面の凹み発見。内側のストリンガーの損傷
 の確認を十分に実施しないまま、運航を継
 続。成田基地で整備士が再確認し、内側のス
 トリンガーに損傷を確認、直ちに運航停止
 し、必要な整備を行う必要があった。整備士
 は、規程に基づき損傷事実を社内関連部署へ
 通報せず。航空事故該当も報告は 5月17日。

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