ジャムコの不適切な検査、特別調査で不正や品質管理・体制を再考へ

ジャムコの不適切な検査、特別調査で不正や品質管理・体制を再考へ

ジャムコは2019年3月26日(火)、不適切な検査業務が実施されていたことが判明、これに伴う第三者による特別調査委員会を設置したと発表しました。航空機シート・内装品などの製造関連事業を手がける生産委託先の宮崎ジャムコで不適切な検査業務が実施されており、国土交通省航空局が立入検査を実施し、判明しました。

ジャムコはこの事案発覚後、速やかに社内に品質業務改善チームを立ち上げ、原因調査、再発防止活動を行い、調査の他拠点への水平展開、品質管理体制全般の再確認と共に、並行して客観的・中立的な調査を実施するため、3月15日(金)付で第三者による特別調査委員会を設置しています。

明らかになった不適切な検査業務は、宮崎ジャムコとジャムコ立川工場の航空機内装品・機器事業本部です。宮崎ジャムコでは、受入検査、工程検査、完成検査の一部で社内資格認定制度による検査資格を有する検査業務指導者の不在時、無資格の検査実習生が有資格者の検査印を借用していました。

2015年4月までさかのぼった調査で、受入検査では192,975件中4,283件、工程検査では13,299件中109件、完成検査では13,299件中21件がそれぞれ疑義がある件数です。この健全性を確認し、機体の運航に飛行の安全に影響を及ぼすような状況にないと判断し、関連の取引先に説明しています。新たな事実が確認された際は、航空局と取引先と調整し、適切に対応します。

立川工場では、航空局の認定事業場として業務規程に基づいた業務の一部、補用部品販売で手順の逸脱がありました。委託先から新潟中条倉庫、または新潟ジャムコに納品され、認定事業場の範囲外の検査場で受入検査が実施され、立川工場に移送され認定事業場として受入検査が行われず、そのまま完成検査に進み、装備品基準適合証を発行、取引先に納品されていました。

過去4年間に447件の装備品基準適合証発行があり、このうち不備は195件でした。この不備は、受領済みの取引先に情報提供と対応を調整しています。ジャムコは新潟で実施した検査は、立川工場と同じ検査員制度による受入検査が実施され、立川工場での完成検査が適切に行われており、部品自体の不備はなく、乗客、乗務員、機体の安全性に直ちに影響を及ぼすことはないとの判断を示しています。

第三者による特別調査委員会は内部統制やコンプライアンスの観点から弁護士2名、航空機の製造業における品質検査の知見を有する専門家として富士重工の元取締役で航空宇宙カンパニープレジデントを務めた松尾則久氏に調査を依頼しています。

調査は不適切な検査業務だけでなく、社内アンケート調査結果からジャムコ、宮崎ジャムコを含む子会社での納期優先の職制上の不適切な圧力、その他の不正や品質管理上の問題の有無などの事実関係、不正検査に至る原因究明、是正対策について調査、検証が行われます。同社は原因分析や是正措置、再発防止対策などに取り組み、品質第一、コンプライアンス重視の企業風土醸成に最善を尽くす方針です。

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