2018年に墜落した嘉手納F-15C戦闘機、パイロットが空間識失調

2018年に墜落した嘉手納F-15C戦闘機、パイロットが空間識失調

ニュース画像 1枚目:嘉手納基地を離陸するF-15Cイーグル
© U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Matthew Seefeldt
嘉手納基地を離陸するF-15Cイーグル

防衛省・外務省は2019年4月24日(水)、アメリカ空軍嘉手納飛行場所属のF-15C戦闘機が2018年6月に沖縄の南海域で墜落した事案について日本政府に調査結果の情報提供があったとし、内容を公開しました。

この事故はパイロットのミスによって発生し、F-15Cの機械的欠陥、設計、航空機の整備に起因するものではないと報告されています。事故機に乗務していたF-15Cのパイロットは、異機種間の基礎戦闘機操縦訓練を実施しており、対戦機のF-22に集中していた際にパイロットの認識と実際の機体の姿勢が不一致になる空間識失調に陥ったことが主要因とみられています。

事故前にパイロットは、F-22に対する防御態勢をとるため、垂直上昇を開始したものの、推進力が不足し、機首は大きく下降しました。さらに、機体が思うとおりの速度で飛行していないとの感触から、空間識失調の状態に陥ったまま右ラダーペダルを一杯に踏み込み、操縦桿を前方へ押す誤操作が行われました。

これにより機体は、偏揺れ、横揺れを伴い下降し、マイナス重力による飛行制御を喪失し、急激な横転後にスピンしながら、緊急脱出可能な最低高度の地上6,000フィートを下回り、機体を立て直すことができずに高度約1,100フィートでパイロットが緊急脱出しました。

アメリカ側はこの再発防止策として、機体の特性を踏まえた高度な訓練と評価の項目を増やし、訓練内容を強化しました。類似の状況に置かれた場合、パイロットが判断する時間を増やせるよう訓練の規則が見直されています。

この記事に関連するニュース
メニューを開く