住友精密グループは2030年に向けた成⻑戦略、2023年までの中期経営計画を策定しました。2030年までは、持続可能な社会を⽀える世界⼀の「精密」を誰よりも先に創る企業として、航空宇宙事業、産業機器事業、ICT事業を3本柱として展開します。
このうち2021〜2023年までの航空宇宙事業は、脚関連事業で⺠間部門の脚と防衛部門の脚・プロペラ、熱交換器事業で航空機エンジン⽤熱交換器を手がけます。この中で⺠間部門の脚事業は市場成長率が低く、市場での強さも弱いため合理化を進め、事業方針を見極めます。将来の電動化航空機⽤の脚システムの開発は2023年度に向けて継続します。さらに、防衛部門では量産案件の⽣産効率と⽣産技術の向上に取り組みながら、戦闘機⽤の脚システム開発への参画に向けた取り組みを開始します。
熱交換器事業では、⼤型機や中・⼩型機向けエンジン⽤熱交換器をバランス良く受注獲得を目指します。また、熱マネジメントでの技術課題として、 3Dプリンティング技術、ノウハウの習得に注力します。特に、軽量化設計技術と製品の信頼性、流体解析技術や⼯学的な条件に基づく最適な材料の密度分布を導き出すトポロジー最適化解析の技術を高め、素材加⼯や3Dプリンティングに活かします。
2023年度に向けては、中⼩型機向け空調システム⽤の熱交換器開発、電動化航空機の熱マネジメント機器の熱解析・設計・製造に関連する技術開発を進める方針です。
なお、防衛装備品費⽤過⼤請求などがあり、こうした不適切事案への対応は完了していますが、ガバナンス強化や内部統制の充実など再構築した体制で再発防⽌に取り組みます。2024年度以降も航空宇宙分野では安定収益の獲得を目指す分野として経営を支え、熱マネジメント分野とICT分野での拡大・成長を実現します。営業利益では2020年3月期に33.5億円でしたが、2021年3月期は5億円の赤字、2022年3月期は黒字転換で3.6億円、中期計画の最終年度の2024年3月期は46.7億円を目指します。