アメリカ航空宇宙局(NASA)は2023年7月5日、X-59 QueSST (Quiet SuperSonic Technology:低ソニックブーム/静粛超音速機)の、走行(タキシング)などの地上試験を開始することを発表しました。地上試験は、組立を行ったカリフォルニア州パームデールにあるロッキード・マーティンの施設で実施しています。
X-59 QueSSTは、開発が進められている民間超音速旅客機の実験機です。今後予定されている超音速飛行の実験を通じ、地上へ轟音を響かせる“ソニックブーム”がどの程度低減するかなどのデータを収集。関係当局などと共有し、従来の半分程度の時間で太平洋を横断することを可能とする、超音速旅客便の就航を目指します。
飛行試験では、随伴機(チェイスプレーン)としてF-15イーグル2機も使用される予定で、すでに高高度で長時間の飛行に対応するため、改修を実施。X-59 QueSSTと共に、通常の旅客機が飛ぶ30,000フィート以上の、約55,000フィートの高高度を飛行する予定です。また、ゼネラル・エレクトリック(GE)が製造した「F414-GE-100エンジン」も搭載されており、2万2000ポンドの推進エネルギーで最大マッハ1.4の速度性能を発揮できる、同エンジンでの飛行試験開始に期待が高まります。