熊本県は2023年12月12日、計画中の「阿蘇くまもと空港アクセス鉄道整備事業(仮称)」について、初めて具体的なイメージを示しました。
空港アクセス鉄道は、阿蘇くまもと空港と九州旅客鉄道(JR九州)の豊肥本線との間に新たに鉄道を整備するもの。現在、主なアクセス手段となっている空港リムジンバスや自家用車、空港と肥後大津駅を結ぶ空港ライナー等では中心地、熊本駅から約60分程度の所要時間ですが、これが鉄道の整備により約40分へ短縮されます。また空港周辺地域では、訪日観光客の増加や人口増加、台湾の世界最大手半導体企業TSMCが日本初となる工場を菊陽町に建設するなど、今後、人やモノの流れが大きく変化することが見込まれています。同空港が、九州を支えるセントラル空港としての役割を担うことを期待して、アクセス手段の改善を図る計画です。
2021年度に、JR九州・豊肥本線の三里木駅、原水駅、肥後大津駅から分岐する3ルートの検討が行われ、2022年12月には熊本県知事が計画を肥後大津駅ルートとすることを表明しました。
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今回、明らかとなった具体的なアクセス鉄道の整備案は、肥後大津駅を起点とし阿蘇くまもと空港駅(仮称)を終点とする約6.8km。肥後大津駅から白川を渡るまでは嵩上式(高架)*一部地表、川を渡ってから空港直前までの高遊原台地周辺では、地下式(トンネル)区間となります。全区間、豊肥本線の熊本駅〜肥後大津駅と同じく電化方式で、単線(線路が1本のみ)となるため中間部に信号所(行き違い施設)の設置が予定されています。
このルート案では、肥後大津駅から熊本駅までの直通運行が可能。また、南阿蘇鉄道が肥後大津駅に乗り入れており、阿蘇地域へのアクセス向上も期待されます。熊本駅への移動利便性向上や阿蘇地域へのアクセス、台湾TSMC進出に伴う沿線需要の増加への対応なども踏まえ、同ルート案が最適としています。
今後、構想段階手続き(住民参加の都市計画)などを進め、2027年度に着工、早ければ2034年度中の開業を目指します。