愛知県は、県営名古屋(小牧)空港に隣接するあいち航空ミュージアムにて、「スペースジェット(SpaceJet)」の飛行試験機を展示することを発表しました。あいち航空ミュージアムの開館10年目を迎える2026年度より展示を開始する予定です。
展示されるのは、「スペースジェット」10号機である「機体記号:JA26MJ」。2016年以降に実施された改良を反映した機体で、登録記号を取得した最後の機体でもあります。2020年3月に初飛行し、型式証明取得に向け、飛行試験の中で機内空調関係やドア周辺の性能確認を行っていました。総飛行時間は48時間で、2023年3月に抹消登録されています。
「スペースジェット」は、三菱航空機が2008年に国内初の民間ジェット機として開発を開始した機体。当初は「MRJ」という名称で開発が進められていました。しかしながら、開発の長期化や型式証明取得が難航したこと、北米での市場開発が困難であることを理由に2020年10月に開発が凍結、2023年2月に正式に中止されています。
なお、登録記号があり、かつ飛行実績もある機体は「JA26MJ」のほか4機が存在しますが、いずれも試験飛行が行われていたアメリカ・モーゼスレイクにて解体されています。「スペースジェットの」試験機にはこのほか、全日本空輸(ANA)の塗装が施され、地上試験などで使用された「JA25MJ」などが存在します。
あいち航空ミュージアムには、戦後初の国産旅客機であるYS-11も展示。愛知県は、スペースジェットが展示されることで「国産旅客機開発ヘの挑戦の歴史を一度に見ることができる大変貴重な展示」になるとしています。今後、2025年度に展示に向けた詳細検討調査を、2026年度上期に設置工事を実施し、26年度下期に公開される予定です。なお、設置工事中、あいち航空ミュージアムは半年程度休館します。