アメリカ国立公文書館は2012年10月8日、アメリカ空軍と陸軍が開発していた「空飛ぶ円盤」VZ-9AVアブロカーに関する機密解除文書を公開しました。残念ながら大失敗のトンデモ計画機だったようです。
VZ-9AVアブロカーは1950年代はじめに、アブロ・カナダがイギリス人設計家のアイディアをもとに計画しました。3基のターボジェットで円盤中央部のローターを回し、機体を浮揚させると同時に高高度を高速で飛行可能で、将来的には垂直離着陸可能な超音速戦闘爆撃機に発展可能という構想でした。
カナダ政府は開発予算がないため、アブロ・カナダはアメリカ政府に計画を持ちかけ、空軍と陸軍が関心を持ち開発を継続することになりました。全幅18フィート、高さ5フィートの試作機2機が作られ試験されましたが、わずか3フィート(約91センチ)浮揚しただけで制御が困難なほど不安定になり、速度も時速35マイル(約56キロ)以上でないことが明らかになり、計画は破棄されました。
アメリカ空軍博物館の歴史研究者は、この失敗はその後のAV-8BやV-22、F-22、F-35などの開発に生かされていると述べています。
この失敗について機密指定し、50年以上も隠していたというのも間抜けな話です。実は物凄い機体が開発されていて、それを隠すためのカモフラージュではないかと勘繰りたくなります。