アルジャジーラが787の安全性を疑う番組放映へ ボーイングは猛反発

アルジャジーラが787の安全性を疑う番組放映へ ボーイングは猛反発

ボーイングは2014年9月10日付で、中東のアルジャジーラが配信するドキュメンタリー「破れたドリーム、ボーイング787 副題 ボーイング787の安全上の懸念 (原題:Broken Dreams, The Boeing 787)」についてコメントをだし、この発表以外は公にすることはないとしました。

アルジャジーラは放映する番宣で、787を製造するノースカロライナ工場に内部告発に基づき隠しカメラを潜入させ、そのカメラに映し出された作業員の口からは「787には絶対に乗らない」といった旨の発言が紹介されています。さらに作業員たちがマリファナ、コカインなど薬物を常習していることから、生産ラインの品質を疑う内容となっています。

また、ボーイングの機体の設計などにも携わる従業員が加盟する全米プロフェッショナル技術者協会(SPEEA)の元委員長から、「787に乗ることは避けて来たが、これをみると絶対に787には乗らない」とのコメントを引き出しています。これはボーイングが2010年に品質基準を変更したことを示すメモで、787のスケジュールを間に合わせるためだとのボーイングのエンジニアが提供したものとされています。

こうした内容について、ボーイングは番組を全て視聴する機会は与えられていない、と前置きした上で、テレビ番組のディレクターは法廷では認められていない証言、匿名の情報源に頼り、歪められた事実を再現したことは残念だとしています。番組とボーイングのコメントから、これまで言われてきたボーイングとマクドネル・ダグラスでの合併にまでさかのぼる話や、エバレット工場とノースカロライナ工場の品質管理の問題の蒸し返し、バッテリーの不具合、炭素繊維複合材の剥離問題などが含まれている様ですが、昔の話や解決されている問題が多く、ボーイングの猛反発につながっています。

ボーイングはアルジャジーラの番組について、取材要請には誠実に対応し、工場内へのアクセス、責任者のインタビューなどを行い、787の優れた価値を理解してもらうための機会を提供したと振り返っています。一方で、この番組は当初からのストーリーに基づき、ボーイングが取材者を信頼し、公開した内容を利用し、地位を乱用したとしています。

また、ノースカロライナ工場のスタッフについても、誤った印象を与えるものと薬物についても否定しています。ただし、薬物問題はボーイングの発表で踏み込んでいないものの、通常の検査に加えた調査なども想定されます。

さらに、ボーイングは787の製造から引き渡しについて、サウスカロライナ工場、エバレット工場とも、堅牢性の高いテスト、検証、検査プロセスを経て最高の安全性と品質基準を満たしていると締めくくっています。

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