岐阜県は2015年9月1日、各務ケ原市と共同で進めている「かかみがはら航空宇宙科学博物館リニューアル基本構想」を策定、発表しました。かかみがはら航空宇宙科学博物館を各務原飛行場の開設100周年となる2017年度中にリニューアルオープンをめざし、博物館をリニューアルします。各務原飛行場は現在の岐阜基地にあたり、当時の日本陸軍の飛行場として開設されました。
リニューアルの基本コンセプトは、日本の航空宇宙技術史が俯瞰でき、子どもたちが「見て・体験して・遊んで・考える」ことができる施設であり、日本の航空技術の黎明期から発展を担う中心地として各務原市・岐阜県の航空宇宙産業を国内外に発信する拠点、岐阜県の産業観光の目玉施設として位置づけます。
リニューアル後は、日本で最初に量産されたサルムソン2A-2をシンボルとするほか、鹿屋航空基地から移転、修復する日本で唯一現存する旧陸軍三式戦闘機「飛燕」を新たに加え、展示します。
このほか、宇宙コーナーの展示面積を現在の800平米からJAXA筑波宇宙センターを上回る1,675平米に拡大し、実物大模型を活用します。体験型ではシミュレータ、航空宇宙技術体験装置などを整備し、「体験コーナー」を拡充し3Dにも対応できるシアター室を新設するなど、分かりやすさにも配慮します。また、3階デッキを新設し、館内を俯瞰する眺望を確保するように変更します。
さらに、運営面では収集した収蔵物を、伝えたいストーリーやメッセージに即して展示し、定期的な入替えを行うほか、導線も企画展や特別展、ワークショップ開催の空間を確保します。
リニューアルは、同博物館が開館当初のコンセプトと展示に乖離が発生し、ターゲットが明確ではなく、何を伝えたいのかがはっきりしないという指摘や施設老朽化に対応するものです。リニューアルを通じ、ハードとソフト両面で整備し、航空宇宙産業の振興や人材育成、観光や地方創生といった視点が重視されます。事業費の総額は約30億円です。なお、これに伴い2016年度以降に一部休館などの措置がとられる予定です。