アメリカのカリフォルニア州では、2016年5月より山火事消火のために新たに海兵隊のMV-22Bオスプレイが使用可能となります。しかし、これまでの航空機とは違うティルトローター機だけに懸念材料も多いようです。Press Enterpriseが2016年3月15日に報じています。
カリフォルニア州の山火事消火に出動するのは、海兵航空基地(MCAS)ミラマーに配備されているMV-22Bオスプレイです。これまで50マイル離れた地点に16トンの消火剤を散布できるCH-53Eスーパースタリオン・ヘリコプターが州政府の要請により出動していました。
MV-22Bは、これまでの消防機S-2Tより速い時速300マイルで飛行でき、4名のクルーの他に24名の消防士を輸送できます。スーパーヒューイ・ヘリコプターはパイロット1名と消防士10名が搭乗して時速125マイルでした。消火水も660ガロンとスーパーヒューイの2倍搭載できます。
しかし、MV-22Bは強烈なダウンウォッシュを生むため、消火水を飛び散らせずに有効に散布できるか懸念されましたが、100フィートのワイヤーでバケットを吊るすことで大丈夫なことが実証試験で確認されました。また、ダウンウオッシュが炎を煽ったり、高温の排気が地上の消防士や機器を炙らないか心配されています。
MV-22Bを山火事消火に使用するよう提唱した安全保障研究家のクレイグ・フーパー氏は「完璧な消防機などなく、プラスとマイナスの両面がある。運用の工夫で課題を克服できる」と話し、グローバルホーク監視機やK-MAX無人ヘリなどの軍用機にも関心を示しています。