JA4010の重大インシデント、正常位置より前脚が後方に傾き発生か

JA4010の重大インシデント、正常位置より前脚が後方に傾き発生か

ニュース画像 1枚目:重大インシデントの当該機
© 運輸安全委員会
重大インシデントの当該機

運輸安全委員会は2018年6月28日(木)、福島空港の滑走路上で2017年6月27日(火)に前脚が損傷したPA-46-310Pの重大インシデントについて報告書を公表しました。このインシデントは、パイパーの機体記号(レジ)「JA4010」で、13時18分にホンダエアポートを離陸し、目的地の福島空港へ飛行し、ILS進入で滑走路01に14時ごろ着陸、滑走中に前脚を損傷して航行が不能になった事案です。

着陸時、機長と同乗者は着陸装置が下げ位置に固定されていることを示す3つの緑色灯の点灯を確認、この機種の進入速度85ノットで進入、大きな衝撃もなく接地しました。着陸後に誘導路T5を過ぎ、T4に向かう途中、距離が長いことから制動操作は行わず、滑走路中心線上を走行するため、ラダーペダルのみの操作のところ、徐々に中心線から右へ偏向し、機首が下がりはじめました。

着陸装置の状態を示す3つの緑色灯が点灯しており、同乗者がパンクと判断し声に出したほか、機長は機首を支えるための操作をしたものの、プロペラブレードが滑走路に接地する音が聞こえる状態で、T4付近で停止しました。

調査では前脚アクチュエーターのロッドエンドベアリングが破断し、前脚が引き込まれたため、滑走路上で航行不能になったと推定されています。90度に曲がる形で破断したロックナットは、物質・材料研究機構の報告書では金属疲労ではなく曲げ荷重の過大な負荷による変形を伴う延性破壊とされています。

こうした破断に至った理由として、前脚が正常な脚下げ位置より後方に傾き、速度減少にあわせて前脚に加わる機体重量が増加する際に、アクチュエーターに圧縮荷重が加わった可能性を指摘しています。

※当初配信の記事に誤りがありました。修正後、改めて公開しています。お読みいただいたみなさまにはご迷惑をおかけいたしました。

メニューを開く