中部圏社会経済研究所、セントレアの現状と目指すべき方向性を考察

中部圏社会経済研究所、セントレアの現状と目指すべき方向性を考察

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© 中部国際空港
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中部圏の航空・空港の発展に資する調査研究を行う中部圏社会経済研究所は2019年6月、中部国際空港(セントレア)の現状と目指すべき方向性について取りまとめを行いました。

2018年度速報値によると、セントレアの総旅客数は1,236万人と過去最高を記録していますが、羽田、成田、中部、関西の4大拠点空港の中では最も旅客数が少なく、増加の伸びは他空港に比べると低くなっています。再国際化による羽田空港利用率の増加により、中部圏居住者による出国時の中部国際空港利用率が約5割に落ち込み、中部圏の旅客需要がその他の圏域の空港へと流れていることが分かります。

また、中部国際空港は、国内の4大拠点空港の中で最も航空ネットワークが小さく、航空ネットワークの拡大が急務となっており、直行便の増便、経由便や接続便を念頭に入れた新規路線誘致や県営名古屋空港の国内線の取り扱いなど、航空ネットワークのさらなる拡大に向け、これらの取り組みを継続的に精力的に取り組んでいくことが必要不可欠だと指摘しています。

なお、旅客輸送と国際貨物による経済波及効果については、2016年の生産誘発額は全国ベースで3兆6,779.6億円、付加価値誘発額は1兆5,869.0億円と非常に大きく、その約50%が中部5県で発生するなど、中部圏経済において重要な役割を果たしています。これには訪日外国人による利用や輸出の拡大に伴う旅客輸送と国際貨物の増加が大きく貢献しており、今後訪日外国人利用者をさらに増加させるには、東南アジアからのさらなる誘客、格安航空会社(LCC)誘致、自治体の観光費の増加、短期入国ビザの緩和も効果的であると説明しています。

訪日外国人を含むLCC利用者の増加に対して、LCC専用ターミナルを持たないセントレアは不利な状況にありますが、2019年9月に主にLCC向けとなる「第2ターミナル」が開業することから、今後より多くのLCC乗り入れ誘致における活動の強化を進めるとともに、ソフト面においても、さらなる利用者の発掘に向け、国内外における利用促進策や観光情報発信などが必要不可欠となります。

中部圏社会経済研究所では、ハード面とソフト面の両者による相乗効果を最大限に引き出すあらゆる活動を効果的に行うとともに、LCCターミナルも持つ国際拠点空港として、また国際拠点空港として必要不可欠な完全24時間化実現のための2本目滑走路建設に向けて、中部圏が一体となって取り組んでいく必要があると考察しています。

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