ANA「JA8569」の重大インシデント、乱気流へのさらなる対策が不可欠

ANA「JA8569」の重大インシデント、乱気流へのさらなる対策が不可欠

運輸安全委員会は2012年6月29日、2011年4月27日に発生した全日空(ANA)運航の767-300型、機体番号(レジ)「JA8569」の重大インシデントについて報告書をまとめました。

これはANA610便として、宮崎空港から羽田空港へ向かっていた便で、離陸から約37分後の串本の東南東で機体が動揺、左後方化粧室前にいた客室乗務員1名が重傷、乗客、客室乗務員4名が軽傷を負ったもの。機体に損壊は無く、羽田空港に到着しています。

報告書ではこの事故について、機体の前方より後方が振幅が縦方向の激しい揺れが発生、重傷を負った客室乗務員が頭部を天井にぶつけるほど体が宙に浮いた後、床に落下。これは防御体勢を取ることができない急激、大きなゆれと見ています。当時のJA8569はジェット気流下方、前線帯近傍のウィンドシアーにより局地的、一時的に発生した晴天乱気流の可能性があるとしています。

さらに、事故防止策として、客室乗務員への訓練、周知などに加えて化粧室周辺など乗客が歩行する場所にハンドルなど体を安定させられるものを設置すること、乗客へ離席の際の注意事項をアナウンスする際に、具体的な回避姿勢の周知も必要と言及しています。

なお、ANAでは一部の機種で可能な範囲でハンドルを設置する対策が施されていますが、その有効性の検証、乱気流による事故防止対策のさらなる検討が欠かせないとしています。

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