国交省、資金繰りやポストコロナ見据え包括的に航空・空港を支援

国交省、資金繰りやポストコロナ見据え包括的に航空・空港を支援

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国土交通省は2020年10月28日(水)、新型コロナウイルスの影響で航空需要が大幅減少し、経営が厳しい航空会社、空港会社、関連企業を包括的に支援する施策を発表しました。判明している金額では6,500億円規模で、着陸料の支払い猶予などすでに実施している支援策に追加、パッケージ化されています。

5つの観点から支援策が組まれ、(1)航空ネットワーク維持、(2)資金需要への対応と雇用維持、(3)航空輸送の安定的・円滑な回復に向けた緊急措置、(4)コロナ時代に対応する航空・空港関連企業の持続可能な事業構造への転換支援、(5)航空ネットワークを支える空港関連企業の経営基盤の維持・強化です。

航空ネットワーク維持では、国内線の着陸料・停留料を2021年2月まで一律45%減免し、約55億円が免除・減額される見込みです。過去に例を見ない規模の需要減少が続く一方、経済活動や国民生活を支える航空ネットワークは維持する必要性があることから、この措置が決まっています。2021年度から、航空機の重量に応じた徴収体系は、旅客数に応じた徴収に見直されます。

資金需要への対応と雇用維持では、2020年度下期分の着陸料・停留料・航行援助施設利用料等の支払い約480億円分を猶予します。また、日本政策投資銀行による危機対応融資として航空会社に資金繰り支援として約5,000億円分を確保しています。このほか、雇用調整助成金では10月時点で350億円、国税・地方税の支払いを4月から6月の3カ月で400億円を猶予しています。

回復に向けた緊急措置としては、混雑空港の発着枠利用ルールを弾力的に運用します。いわゆる「ユーズ・イット・オア・ルーズ・イット(use it or lose it:U/L)」ルール)を適用免除とし、2020/21年冬スケジュールの全期間、コロナ影響による欠航はカウントから除外します。通常は80%以上の運航実績が無い発着枠を航空会社から回収し、新たに発着枠を要求する航空会社に配分しますが、これは凍結されます。また、運航便数が減っていることから乗務員の資格維持を緩和します。

さらに、事業構造の転換支援では、国交省が取り組むGoToトラベル事業に加え、地域航空会社などへの感染防止対策への支援、旅客機の客室内を使用した貨物運送、遊覧飛行で柔軟な飛行経路の設定支援などにも取り組みます。コスト削減では、飛行経路短縮など経済性を高める管制運用を実施することが想定されています。

空港関連企業の経営支援では、コンセッション空港では契約上の履行義務を緩和し、施設の投資計画などを後倒しできるようにします。中部国際空港と関西国際空港を運営する2社には政府保証債の前倒し発行などで、資金繰りに対応します。このほか、国有財産の使用料支払い約180億円を猶予すること、空港会社やその関連企業への支援としてテナント賃料の支払い猶予や減免検討を要請していきます。

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