787コンプレッサー不具合、技術資料の運用規程への反映を迅速化 | FlyTeam ニュース

787コンプレッサー不具合、技術資料の運用規程への反映を迅速化

ニュース画像 1枚目:JA828A、2019年6月1日の飛行の経過、事故報告書から
JA828A、2019年6月1日の飛行の経過、事故報告書から

運輸安全委員会は2020年11月26日(木)、全日空(ANA)の787-8、機体記号(レジ)「JA828A」で発生した与圧システム不具合の重大インシデントについて報告書をまとめました。重大インシデントの認定根拠は、航行の安全に障害となる複数の故障に準ずる事態であったと判断されたためで、調査が進められていました。一連の報告を受け、ANAは製造者の技術資料を社内規定に反映する手続きを変更しています。

この事案は2019年6月1日(土)、サンノゼ発成田行きとして三陸沖上空を飛行中のANA171便が管制に降下の優先権を要請、成田に着陸しました。乗員・乗客に怪我などはなく、到着後の詳細点検で、機体構造に損傷などは確認されていません。

事態は成田到着前の13時56分ごろ、左側の空調装置の不作動を示すメッセージ表示がきっかけでした。左側の空調系統が作動していないことが確認され、ANAの運用規程に基づき、不作動時の操作手順に従い、空調リセットスイッチを押して再起動を試みました。

一旦は再起動を開始したものの、すぐに左右両方の空調装置の不作動を示すメッセージが表示され、左右の空調系統は両方とも作動していない状態が確認されました。これを受け、機長は緊急事態を宣言し、高度を約10,000フィート(ft)まで緊急降下し、飛行を継続して、14時56分に成田へ着陸しました。

ボーイングは、35,000ft超の高度で空調系統の再起動ができない場合があり、高度を下げて再起動操作をするよう、2019年4月5日(金)付けの技術資料で運航者に指示していました。ANAは、当該の技術資料を重大インシデント発生前に入手していました。ただし、社内で検討中の段階にあり、運用規程に反映されておらず、運航乗務員へ周知されていない段階でした。

報告書は、左側空調系統が再起動できず、正常に作動していた右側空調系統も停止した今回の事案は、高高度でキャビン・エア・コンプレッサーがサージングを発生させやすい環境条件下で再起動の操作が行われたことと推定しています。

再発防止策として、ANAは空調系統の両方が同時に停止する不具合を防止するため、設計・製造者が指示する空調系統不作動時の追加操作手順について、社内規定に反映しています。さらに、設計・製造者が発行する技術資料を社内規定に反映する手続きで、運航の安全に重大な影響のある事項の変更は、受領後速やかに行うよう社内規定を変更しています。

また、ボーイングは片方のコンプレッサーにサージングが発生した場合、正常に作動しているコンプレッサーへの影響軽減を目的に、バルブを制御するソフトウェア変更の技術通報を発行し、運航者に通知済みです。ANAも技術通報に基づき、対象機でソフトウェア変更を順次、実施します。

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