日機装は2021年5月12日(水)、低燃費・低騒音を実現させる次世代型エンジン「UltraFan」向けエンジン開発で、新たに「クレードル(Cradle)」の共同開発パートナーに選出されたと発表しました。クレードルは、主翼にエンジンを懸架するパイロンのカバーに相当する部品。帝人と共同開発した新たな速硬化樹脂材料を採用し、AFP積層(Automated Fiber Placement)という自動積層に対応する開発を進めています。クレードルのプロトタイプは、試験品の1つとして2021年末までにエアバスに納入予定です。
日機装が一部を担当する新たなエンジン「UltraFan」は、ロールス・ロイスが開発を進めている次世代実証機「Propulsion of Tomorrow」プロジェクトでナローボディ機とワイドボディ機の双方に搭載可能なエンジンファミリーです。ファンブレードとファンケースの製造に複合材を使用し、大幅な軽量化の実現を目指しています。現在、大型機で主力のトレントエンジンの初代と比べると25%の効率化を実現します。
このエンジン開発で、エアバスは新たな構造と関連技術を投入し、航空機のエンジン・燃料・搭載機器を保持する筐体「ナセル」をロールス・ロイスに供給します。日機装はナセルを構成するインレット・アウター・リングについても、エアバスから共同開発パートナーに選出されています。
日機装は1984年にCFRPカスケードを開発、エアバスが製造するエアバスA300型機に搭載されたエンジンナセルの納入を皮切りに、エアバスが製造するすべての民間機に採用。これ以外にエアバスA320型機・A330型機・A350型機の主翼、ナセル、エンジンの部品製造を手がけています。