47年前の1974年8月21日、イギリス空軍のアクロバット飛行部隊「レッドアローズ」が使用するホーカー・シドレー(現BAEシステムズ)のホーク(Hawk)が初飛行しました。ホークは軍用の練習機として開発された航空機で、1979年からレッドアローズで活躍しています。日本では、ホークと同様に練習機として開発されたT-4が航空自衛隊のブルーインパルスとして活躍しています。そこで、2つのアクロバットチームが使用する練習機、ホークとT-4の違いや類似点を振返ります。
■BAeホークとT-4諸元BAeホーク(Hawk128) | レッドアローズHawkT1 | T-4 | |
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乗員 | 2名 | 2名 | 2名 |
全長 | 12.43m | 11.85m | 13.00m |
全高 | 3.98m | 3.98m | 4.6m |
翼幅 | 9.94m | 9.39m | 9.9m |
翼面積 | 16.7m2 | 30.84m2 | |
空虚重量 | 4,480kg | 3,628kg | 3,840kg |
最大離陸重量 | 9,100kg | 8,330kg | 7,500kg |
動力 | ロールス・ロイス/チュルボメカ・アドーアMk151ターボファンエンジン1基 | 石川島播磨重工業(現IHI)製F3-IHI-30Bターボファンエンジン2基 | |
最大速度 | マッハ0.84 | マッハ0.9 | |
航続距離 | 2,520km | 3,148km | 1,300km |
上昇率 | 47m/s | 47m/s | 51m/s |
ホークは、イギリス空軍が使用する練習機として開発され、改良が加えながらイギリスだけでなく、ヨーロッパではフィンランド、オーストラリア、中東、インドやインドネシアなどアジア地域を含め、13カ国で練習機としてジェット機パイロットを育成してきました。
最近ではカタール空軍向けが製造されており、イギリス空軍がその訓練を支援しています。これまでに累計1,000機超が製造され、うち650機ほど現在も運用されています。
T-4は日本、空自のみで製造・使用されている機種です。製造機数は212機と、輸出ができないため、機数はホークより少ないものの、目的のパイロット育成では、芦屋基地の第13飛行教育団で1998年から多くのパイロットが育成されてきました。芦屋でのT-4を経て、浜松の第31教育飛行隊でさらにT-4を使用した訓練を経て、F-2またはF-15の戦闘機操縦訓練に進みます。
レッドアローズが使用するHawk T1Aは、製造初期の機体のためHawk128より少し小さな機体です。T-4と比べ、外観から分かる全長、翼幅は類似しており、大きな違いはエンジンの搭載基数。一般にエンジンの数が少ないと燃費が良くなります。ホークはT-4より航続距離が長いのもこうした要因がありそうです。ただし、軍用機は開発時にその用途が定義され、重量、推力に違いが発生するエンジンに期待する役割もあり、良し悪しを加味して使用されています。
現在、日本とイギリスは特に防衛関係で、空自が世界各地から軍用機が集結する世界最大のミリタリ・エアショーへの参加をはじめ、2016年にはタイフーン戦闘機が三沢に飛来し、空自と訓練を実施。これ以外にも、陸自とイギリス陸軍の共同訓練、2021年はイギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」の来日と交流が深められています。
ホークを使用するレッドアローズは、2016年にインド・東南アジア・中国遠征、2019年には北米ツアーを敢行。ホークを使用した展示飛行で、イギリスを代表する「外交団」としての役割も果たしています。日英の防衛交流が深まる中、「レッドアローズ」の来日と「ブルーインパルス」の共演といったアクロバット部隊の交流にも期待したいところです。