新明和工業は2021年10月18日(月)から10月19日(火)、11月1日(月)から11月4日(木)までの計6日間、長崎県の対馬空港発着で、固定翼型無人航空機「XU-S(Experimental Unmanned / Utility aircraft by ShinMaywa)」を使用した実証実験を行いました。海洋ごみ空撮調査を実施したもので、実用化により調査員がアクセスしにくい場所も網羅し、調査の効率化と詳細把握が可能になるとの結果を公表しました。また、この飛行は、3つの国内初の無人機による飛行を実現しました。
3つの国内初は、(1)無人の地域で目視の補助者なしで飛行する航空法で定める無人機のレベル3飛行による海洋ごみ空撮調査、(2)定期便が就航する空港を離着陸拠点としたレベル3飛行、(3)衛星通信による管制・制御で固定翼型無人航空機とドローン運航管理システム(UTM)との接続でした。
特に、対馬空港で定期便が運航されている中、「XU-S」は衛星通信で管制・制御が実施され、対馬島の西側海上を飛行しました。レベル3飛行で、海岸空撮調査と海上浮遊物の捜索飛行が実証実験の期間中に複数回、運航されました。期間中に最も長い飛行時間の記録は1時間12分、その航続距離は約63キロメートル(km)でした。
「海岸に漂着したごみの空撮」と「海上を漂流するごみの空撮」は、長時間・長距離飛行が可能な「XU-S」の特長を活かした調査で、複数のカメラを搭載し、空撮が実施されました。長時間・長距離飛行は、一般的な回転翼型ドローンでは航続の時間・距離が短く対応できない分野です。
対馬の漂着ごみ実態調査は、調査員が船で接岸・上陸、徒歩で実施されています。漂着ごみが比較的多い空撮調査を実施した西海岸に限っても範囲は数百kmに及び、漏れなく調査することは難しい作業です。XU-Sによる空撮調査が実用化されると、調査の効率化、詳細把握、さらに海上捜索も実施することで早期発見により、漂着前に船で回収する可能性も検討できる環境が整備されます。