超音速旅客機「Overture(オーバーチュア)」の開発を手がけるブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic:以下ブーム)は2022年1月26日(水)、超音速旅客機の量産拠点にノースカロライナ州グリーンズボロのピエモント・トライアド国際空港を選定したと発表しました。この空港は、ホンダ・エアクラフト・カンパニー(HACI)が工場を構え、HondaJetの量産を手がけるなど航空産業の集積地でもあります。
オーバーチュアの製造工場は、ピエモント・トライアド国際空港の北側の敷地65エーカー、東京ドーム約5.5個分の広さを確保します。工場施設は3.7万平方メートルと東京ドーム1個分程度の広さになります。HACIのある滑走路5R/23Lとは反対側の5L/23R側に位置します。
ピエモント・トライアド国際空港には、最終組立ライン、試験飛行に関連する施設、顧客へのデリバリーセンターなど、製造・納入に関連する施設が設けられます。施設建設は2022年に開始、超音速旅客機「オーバーチュア」の製造は2024年開始、2025年にロールアウト、2026年に初飛行、2029年までに最初の旅客便が運航される予定です。
ブームは、製造拠点の選定理由として、ノースカロライナ州に多くのアメリカ軍の退役軍人をはじめ航空・宇宙関連の労働力があるほか、航空関連施設の集積で熟練労働者を獲得しやすく、技術学校も存在することを挙げています。
さらに、航空・宇宙関連サプライヤーでもメーカーに直接納入するティア1企業が近接し、生産体制の整備、製造機数の増加に向けた体制を整えやすい周辺環境があります。試験飛行でも、400キロ弱で大西洋上空にアクセスでき、超音速飛行試験を実施しやすい地理的な条件も勘案されています。
なお、「オーバーチュア」はユナイテッド航空が発注しているほか、日本航空(JAL)が投資、機材導入の権利を保有しています。