三角が印象的なトラス支持翼、NASAが風洞試験スタート

三角が印象的なトラス支持翼、NASAが風洞試験スタート

ニュース画像 1枚目:ボーイングが提案するトラスブレース翼の機体イメージ
© Boeing
ボーイングが提案するトラスブレース翼の機体イメージ

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、遷音速(マッハ1前後)で飛行可能な「トラス支持翼」の風洞試験を始めています。「トラス支持翼」は現在の航空機と比べ、消費燃料が大幅に少なくなると想定されています。ただし、その形状から飛行中に実際に主翼がどのように機能するか、研究が必要とされています。

「トラス支持翼」の「トラス」は三角形を構成した骨組みを意味します。「トラス支持翼」の形状は、多くの固定翼機と同じく主翼が胴体上部から左右に配置され、胴体下から主翼を支える第2の主翼が伸び、支えながら三角形を形成している構造です。NASAは、ボーイングからマッハ1前後で飛行可能な遷音速トラス支持翼(Transonic Truss-Braced Wing、TTBW)を備えた航空機の提案を受けていました。

開始した試験は、カリフォルニア州シリコンバレーのNASAエイムズ研究センター内の風洞実験施設で行われました。実験には、実物大の9%のサイズの模型が使用されています。主翼や胴体へのさまざまな事象を把握するため、施設に対応する最大級の模型を使用するため、機体を縦半分に分けたモデルが作られました。飛行中の空気の流れを再現し、発生する機体への圧力をはじめ、様々な要因を測定しました。モデル機の表面には、100を超えるセンサーが搭載されました。

ニュース画像 1枚目:トラスブレース翼の風洞試験
© NASA | Dominic Hart
トラスブレース翼の風洞試験

TTBWの上部の主翼は現在の航空機と比べ長く、薄い構造です。そのため、下から支柱のように支える斜めの第2の翼で主翼が安定します。この構造により、現在の旅客機より主翼を軽量化でき、空中での抗力を抑え、現在より少ない燃料で飛行できると想定されています。この主翼により、現在の航空機より8〜10%ほど燃料を抑制できる見込みです。風洞実験では、速度や高度の組み合わせによる性能の上限を探る目的があり、高度・速度による空気の詳細な流れを把握。さらに、コンピュータシミュレーションの精度を高めることにもつなげます。

TTBW研究・調査は、試験の精度を高めながら、燃費効率の良い機体の実現に向け、試験を継続していきます。積み重ねた成果は、2030年代の航空機開発に生かされる技術になる可能性があります。

ボーイングは2006年から、静粛性が高く、環境に優しい航空機の研究開発に着手。「Sustainable Ultra Green Aircraft Research」の頭文字を取り、「SUGAR」と名付け、NASAへ提案しています。最新のプランは、現在の737型と同じ大きさでハイブリッド電気推進エンジンを搭載し、スピードはマッハ0.8前後を検討しています。

この記事に関連するニュース
メニューを開く