全国の航空祭やイベントで多くの人を魅了する航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」は、1960年8月1日に結成されました。結成以来、これまでF-86Fセイバー、国産のT-2練習機、T-4練習機の3機が使用されてきました。今回は、歴代のブルーインパルス3機種を順番に振り返ります。
初代:F-86Fセイバー (1960〜1981年)
航空自衛隊が1955年、アメリカからノースアメリカン製のF-86Fセイバーを供与され、ブルーインパルスが結成当初の1960年からこの機体を使用しました。「ブルーインパルス」のチーム名や飛行技術を世に知らしめたのは、1964年の東京オリンピックでしょう。カラースモークを使用し、5機編隊による五輪マークを描いた飛行は、多くの人たちに驚きを与えました。
この成功を受け、1970年に開かれた大阪万博の際にも展示飛行し、「EXPO70」を描きました。その後も国内の世界的なイベントには、祝賀飛行をするようになっています。
2代目:T-2練習機 (1982〜1995年)
2代目は、国産初の超音速「マッハ」を記録したT-2練習機が採用されました。国産初の「マッハ」機を広くお披露目し、日本の技術を広めることもブルーインパルスの大きな役割となりました。目の前でスピード感ある飛行は人々を魅了しましたが、F-86Fと比べ機動性に劣るため、それを補うために6機編隊の展示飛行が標準になり、現在のブルーインパルスに引き継がれています。
3代目:T-4練習機 (1996年〜)
現在、使用する3代目のT-4練習機は、導入から26年目と、もっとも長く使用されている機種です。1997年には、アメリカ空軍創設50周年にあわせ、初の海外遠征が実施されました。この際にお披露された「スター・アンド・クロス」は、現地でも高い評価を受け、現在も航空祭で見ることができる課目です。また、2020年、2021年の東京オリンピック関連イベントでは、カラースモークが22年ぶりに復活し、話題を呼びました。
3機種で、60年以上の歴史を脈々と築いてきたブルーインパルス。8月以降も各地で航空祭や、イベントに参加し、華麗なフライトを披露します。時代の変化や機種更新とともに課目を変更しながらも、高い技術に裏打ちされた人気と人々に与える夢・希望は変わらずに引き継がれていきます。
※配信後、一部年号を修正しました。お読みいただきました皆さまにはご迷惑をおかけいたしました(2022/08/01 10:44)