米ワシントン・レーガン空港、距離規制緩和案 上院で審議へ

米ワシントン・レーガン空港、距離規制緩和案 上院で審議へ

ニュース画像 1枚目:ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港 2018年7月4日撮影 N8699A ボーイング737-8H4 サウスウェスト航空
© FlyTeam xingyeさん
ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港 2018年7月4日撮影 N8699A ボーイング737-8H4 サウスウェスト航空

アメリカの首都、ワシントンDCにある主に国内線が発着する「ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港(DCA)」について、2023年7月、距離規制に関する議論が活発になっています。

DCAは、ニューヨーク3空港(JFK・ラーガディア・ニューアーク)、シカゴ・オヘアと共に、“混雑空港”に指定。ワシントン・ニューヨークそれぞれ、大型の空港を郊外に整備することで、都市部に近い小規模な空港を近距離便に特化させようという動きが1960年代から始まりました。ワシントンでは、長距離国際線から国内線までが発着する「ダレス国際空港」を都市部から40kmほど西に整備しています。

都市部の小規模な空港(DCAとラーガディア空港)では、「ペリメーター・ルール」という連邦規則を適用し、混雑を管理。「ペリメーター・ルール」では、DCAから1,250マイル(約2,011km)までの運航しか許可されず、国土の広いアメリカでは、西海岸地区への運航が叶わない状況となっています。

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全米混雑滑走路ランキング

そんな中、首都ワシントンへのアクセス向上、雇用創出、航空券の低運賃化を目標に、「ペリメーター・ルール」の規制緩和を求めた活動を行なっている団体があります。デルタ航空や企業、議員などの有力者が支援する団体「キャピタル・アクセス・アライアンス(CAA)」です。この団体では、西海岸地区や内陸部(ユタ州)などへの就航を可能とし、そこで生じる利点をアメリカ議会下院で訴えていました。しかし、7月19日に下院で、規制範囲外で1日7往復を追加するというアメリカ連邦航空局(FAA)の修正案が否決。これを受け、今後は同修正案を上院で争うとしています。

「ペリメーター・ルール」には“例外”があります。シアトル(DCAから約2,320マイル)、ロサンゼルス(約2,304マイル)、フェニックス(約1,974マイル)、デンバー(約1,470マイル)など、各航空会社の主要ハブ空港との路線については、例外措置として運航を許可しているもの。この中でアメリカ東部にハブ空港を多く抱えるデルタ航空などでは、この“例外“はあまり享受できないという観点から、CAAを支持しています。一方、DCA運営会社やユナイテッド航空などでは、規制緩和による便数増加で、混雑が増し遅延が増幅するという懸念を表明。この議論の背景には、各航空会社の思惑が大きく影響していることが想像されます。

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