【進化する茨城空港:前編】ターゲットを大きく変えた茨城空港はめちゃ便利でした!

【進化する茨城空港:前編】ターゲットを大きく変えた茨城空港はめちゃ便利でした!

ニュース画像 1枚目:2025年、開港15周年を迎えた茨城空港
© 伊藤 道大
2025年、開港15周年を迎えた茨城空港

東京(茨城)というジレンマ

「首都圏第三空港」という名称と構想を皆さんは覚えていますでしょうか?
羽田、成田の次に関東地方で有用な空港として、茨城空港が第三の空港という選択肢を提案した名称ですが、残念ながら定着しなかったと思います。東京の空港というイメージで茨城空港に降り立ったインバウンド客が、その牧歌的な光景に呆然と佇む姿を何度見たことでしょう。

そんな茨城空港も、2025年で開港から15周年を迎えました。今回は、コロナ禍を経た利用者の変化と、空港サービスの向上を前編・後編の2回にわけてお伝えします。前編では、茨城空港がターゲットとする利用者の変化をお伝えします。

ニュース画像 1枚目:かつて東京駅八重洲口改札前にあった茨城空港のPR広告 2016年撮影
© 伊藤 道大
かつて東京駅八重洲口改札前にあった茨城空港のPR広告 2016年撮影

久々に来てみると意外な変化にビックリ!

実のところ筆者はかつて茨城空港のヘビーユーザーでした。特に中国・上海在住時に私用で帰国する際は春秋航空の茨城・上海浦東空港便を多用し、また今はなき台湾のVエアの台北桃園空港便も安価であったので、よく利用していました。(Vエアは安売りしすぎで結局事業が破綻してしまいましたが)コロナ禍前までの茨城空港は特にローコストのオペレーションをセールスポイントにして、近隣アジア諸国・地域のLCCを中心とする新興エアラインを路線誘致していました。訪日インバウンド客は、茨城県が助成する500円で東京駅に行ける高速バスを利用してそのまま東京に向かうというケースが殆どであったと思います。かくいう筆者もその一人で、茨城は素通りという感じでした。この助成金については茨城県知事の指摘により打ち切られ、現在は東京駅行バスは減便し料金も通常料金に戻っています。

ニュース画像 2枚目:かつて就航していた台北行き、「Vエア」の機材 2016年撮影
© 伊藤 道大
かつて就航していた台北行き、「Vエア」の機材 2016年撮影
ニュース画像 3枚目:台北行きのチェックインの様子。こじんまりとしています 2016年撮影
© 伊藤 道大
台北行きのチェックインの様子。こじんまりとしています 2016年撮影
ニュース画像 4枚目:空港利用者には片道500円という破格の料金を出していた東京駅と茨城空港を結ぶ高速バス 2016年撮影
© 伊藤 道大
空港利用者には片道500円という破格の料金を出していた東京駅と茨城空港を結ぶ高速バス 2016年撮影

何気にスカイマークはほぼ空港を独占。神戸と繋いで乗り継ぎできちゃう

コロナ禍後の茨城空港は、スカイマークを軸とする国内線中心の空港というスタイルに変わりつつあります。もちろん、中国や台湾、そして韓国への国際線の就航も戻りつつありますが、スカイマークの国内線は神戸、札幌、福岡、那覇と直行便が飛ぶと共に、神戸乗り継ぎで長崎、鹿児島、下地島(宮古)に行くこともできます。この国内線のユーザーはどこから来ているのか?それは広大な北関東の住民をターゲットにしているということにあります。

ニュース画像 5枚目:茨城空港に駐機するスカイマーク 737-800型機 2022年撮影
© 伊藤 道大
茨城空港に駐機するスカイマーク 737-800型機 2022年撮影
ニュース画像 6枚目:スカイマークのカウンター付近の顔ハメパネルと、開港15周年を祝う表示 2025年撮影
© 伊藤 道大
スカイマークのカウンター付近の顔ハメパネルと、開港15周年を祝う表示 2025年撮影

意外と規模が大きい北関東の人口と商圏

茨城県の人口は279万人(2025年4月1日時点、茨城県庁発表)隣接する栃木県が187万人(2025年4月1日時点、栃木県庁発表)、群馬県が187万人(2025年4月1日時点、群馬県庁発表)となっています。これに近隣の福島県南部のいわき市の人口が 31万人(2025年6月1日時点、いわき市発表)であるので、合算すると約686万人近くが利用客になり得るということになります。この人口数は千葉県の人口より多く、埼玉県の人口より少ない程度の数字で、47都道府県で5位か6位に入る規模となります。
 
車社会を背景に自家用車での来港に大きなインセンティブ

この背景を考えると、東京都民に目を向けるのではなく、北関東の大きな商圏を取り込んだ方が得策とする空港営業戦略にメリットがあります。茨城空港には約3,100台の駐車場があり、利用客は無料で車を停めることができます。車社会である北関東住民にとっては、自宅から車で空港に直接来られ、長期間でも無料で駐車出来ることは大きなメリットになります。

ニュース画像 7枚目:茨城空港ターミナルから見た駐車場 2025年撮影
© 伊藤 道大
茨城空港ターミナルから見た駐車場 2025年撮影

茨城空港の利用客が昨年度78万人となり過去最多になったという報道を見ていましたが、実際に国内線を軸に成長していることが空港利用でよくわかりました。商圏を見直すことで、新たな顧客層に気がついたということでしょう。では、実際に利用者にどのようなメリットがあるのか?ということについては後編で紹介していきたいと思います。

ニュース画像 8枚目:茨城空港旅客数の推移
© 茨城空港
茨城空港旅客数の推移
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