2012年9月13日、アメリカ下院軍事小委員会で、アメリカ空軍とNASAの高官がF-22の低酸素症問題について証言しました。
F-22の問題は、2008年にパイロットから低酸素症のような症状が表れると報告されたのが最初です。
アメリカ空軍がアメリカ海軍の助けを借り調査を進めると、F-22のパイロットは懸命に呼吸をしなければならず、飛行時間とともに疲労を蓄積していました。アメリカ空軍はNASAにもF-22の生命維持装置の調査を依頼。その結果、不適切に膨張する圧力ベストにより呼吸が阻害され酸素圧力が低下し、それが低高度ほど顕著に表れることが分かりました。
酸素システム内に有害な物質が混入した形跡はありませんでした。F-22パイロットの間では高Gの飛行を終えると、押さえつけられた肺が再膨張するため咳が出るのは当たり前のこととされていました。
対策として圧力ベストのリリーフ・バルブを改良して、パイロットへの酸素供給を改善。さらに、緊急酸素システムにバックアップ・システムを追加します。これは2012年末までに実用化されると期待され、改良したF-22は2013年1月から運用が開始されます。2014年中期までには全機の改良が完了する予定です。
ただし、証言した航空戦闘軍団運用部長兼F-22生命維持装置調査チーム議長のチャールズW.リヨン少将は、高性能な航空機はリスクから逃れられず、F-22ではこのリスクを常に念頭に置く必要があるとしています。また、そのリスクは任務の優先順位と成功の確率で計られると結んでいます。