フェデックスの成田での事故、運輸安全委がアメリカ連邦航空局へ安全勧告

フェデックスの成田での事故、運輸安全委がアメリカ連邦航空局へ安全勧告

運輸安全委員会は2013年4月26日、フェデラルエクスプレスのMD-11F、機体記号(レジ)「N526FE」の事故について報告書をまとめました。貨物便FDX80便として成田空港に2009年3月23日午前6時49分ごろ、着陸する際にバウンドを繰り返し、左主翼が胴体付け根付近で破断して出火。機体は炎上し、左にロールして裏返しとなり、滑走路西側の草地に停止。搭乗していた機長、副操縦士とも死亡したもの。

報告書では、事故の状況についてポーポイズに陥り、3回目の接地時に左主脚から左主翼構造に伝わった荷重が設計値の終極荷重を大幅に上回り、左主翼が破断したと見ています。この破断で漏れ出した燃料に着火して火災が発生。左にロールしながら進み、滑走路左側の草地に裏返しとなりました。

ポーポイズに陥った直接的な要因は、1回目の接地前から接地後にかけて操縦桿を大きく前方に操作。1回目のバウンド中に急激に機首が下がったため、2回目の接地が前脚からとなり、接地後に地面からの反力で機首が大きく上がり、2回目の大きなバウンドが生じたことをあげています。また、2回目のバウンド中に、推力を使用せずピッチ角の制御のみでコントロールしようと操縦桿を大きく操作したと見ています。これ以外に、間接的な要因として、風向風速の変化や気流の乱れにより、速度やピッチ角が安定せずに降下率が大きな状態で進入したことなどをあげています。

これをふまえ、安全勧告として、アメリカ連邦航空局(FAA)に対して、垂直方向の過大な荷重による破壊モードで構造破壊を生じ、火災に至る燃料漏れが発生する可能性のある設計は認められるべきではないとして基準そのものを改正すること、搭乗者の生存性を高めるため、機体に火災が発生した場合に熱、煙、有毒ガスなどが搭乗者区画に入り込みにくくなる区画の分離方法の研究を進め、実効性のある改善策を実機に適用するよう検討することを指摘しています。

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