運輸安全委員会、海保JA727Bの仙台空港着陸時の機体損傷で報告書

運輸安全委員会、海保JA727Bの仙台空港着陸時の機体損傷で報告書

ニュース画像 1枚目:事故発生時のFDRの記録、運輸安全委員会資料から
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事故発生時のFDRの記録、運輸安全委員会資料から

運輸安全委員会は2016年7月28日(木)、海上保安庁のDHC-8-300が2015年5月30日(土)、仙台空港に着陸した際に胴体前方左右の外板が損傷した航空事故の報告書を発表しました。DHC-8-315の機体記号(レジ)「JA727B」で、事故発生当時は機長、訓練生、同乗者と計8名が搭乗していましたが、けがなどはありませんでした。

当日、このJA727Bは、副操縦員認定の型式限定取得の訓練飛行を行い、教官の機長が右席、訓練生が左席に着座し、花巻空港を離陸し、各種訓練ののち、最後に仙台空港でフラップアップ・ランディングを実施する計画でした。仙台空港には滑走路09の場周経路に進入し、15時58分ごろに着陸しました。

着陸時、訓練生は滑走路上の目標点標識付近に主脚を接地させたものの、機首がなかなか下がらないように感じ、右席の機長は主脚接地時の姿勢より機首が上がるように感じていました。このため、機長がテールコンタクトを恐れ、操縦桿を前方に押したところ、前脚が通常より大きな衝撃とともに接地しました。着陸滑走中は、機長、訓練生とも、異常は認識せず、地上滑走を継続し、16時5分ごろ駐機場に到着しています。

エンジン停止後、同乗整備士の機外点検で前脚の損傷が発見され、詳細点検で前脚下部の摩耗痕、前脚部品損傷、前方胴体外板の変形が見つかりました。また、滑走路との接触が疑われたことから、航空局が滑走路面を点検し、機体接触が原因と思われる擦過痕が確認されています。

報告書でこの事故は、着陸時の主脚接地後、機首が急激に下がり前脚が強く接地したため、前脚部品が損傷し、胴体外板の変形が発生したことによる可能性が高いとしています。前脚の強い接地は、前脚が一旦接地した後に再び機首が上がり、機首上げ姿勢が過大になる傾向時に、テールコンタクトの恐れを感じた機長が急激、かつ大きな機首下げ操作を行ったことによるものとしています。

飛行記録装置では、機首下げ操作時に操縦桿が約1秒間押され、エレベーター舵角は約7度からマイナス15度に大きく変化していました。

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