IHI、航空機エンジン整備の検査不正 21基に計211件を確認

IHI、航空機エンジン整備の検査不正 21基に計211件を確認

IHIは2019年3月8日(金)、民間航空機エンジン整備事業で発覚した不適切な事象について、中間報告を公表しました。同社は3月5日(火)に当該事象の発生を明らかにしていました。

不適切な案件は、瑞穂工場で2事象が判明しており、1つは定められた資格に応じて行う検査でルールを逸脱、2つ目はマニュアルに規定された順序で整備作業を行わず、作業日と異なる日付を記録していたものです。

IHIは通常、年100基から150基の航空機エンジンを整備し、今回の調査対象は過去2年分の国交省認定エンジンを対象に、計約4万件の検査記録を調査しています。このうち、21基、計211件の不適切な事象が確認されています。

不適切な事象はIHIから東京航空局、アメリカ連邦航空局(FAA)をはじめ、各国の航空局、エンジン製造メーカーに報告され、飛行安全に問題ないとの見解が示されています。ただし、IHIは顧客と調整し、念のために点検を進めます。また、この事象判明を受け2月12日(火)以降、民間航空機エンジン整備事業の検査作業は、自主的に作業を停止しています。

この事象が発生した原因についてIHIは、エンジン整備の検査記録の公的重要性の意識が乏しいこと、品質保証上で重要な職場にも関わらずマネージメント層の関与不足、資格が必要な業務を担当する検査職場で実地教育(OJT)制度の不明瞭さをあげています。今回調査した2年前の2017年に検査記録を細かく設定し、品質改善につなげようとしたことが現場の負担を大きくし、エンジン整備事業の拡大を目指した新人を含む人員増も現場に負荷がかかったとみられます。

再発防止策として、社長が直轄する「全社重要不適合対策委員会」を設置し、役職員全体で信頼の回復と再発防止に取り組みます。具体策は改めて公表するものの、その柱として、(1)コンプライアンス教育の全面更新、(2)航空安全管理体制の抜本的改善、(3)業務規定実施体制の見直しの3点をあげています。

IHIは国交省の調査が継続しており、その全面協力と同時に、民間航空機エンジン整備事業の検査作業の再開は、再発防止策の確実な実行と、航空局の指導を受けながら慎重に検討する方針です。

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