10年後のリージョナル機市場予測、コロナで日本にも規模適正化の波

10年後のリージョナル機市場予測、コロナで日本にも規模適正化の波

ニュース画像 1枚目:エンブラエル イメージ、画像はE175-E2
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エンブラエル イメージ、画像はE175-E2

エンブラエルは2020年12月2日(水)、2020年版商用機の市場予測を発表しました。この市場予測は、150席以下を搭載する航空機、いわゆるリージョナル機の旅客需要、納入予測を調査したレポートで、新型コロナウイルスの影響を考慮した最新版です。

 ===この記事の概要===
 ・10年後の市場は成長、ただしコロナ禍の影響残る
 ・企業や人の行動が変容、リージョナル機には好機
 ・アジア、市場の成長変わらず、世界シェアも高まる
 ・日本では機材の適正化を進める要因あり
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2029年の需要を示す旅客輸送量は11兆有償旅客キロ(RPK)と、2019年版と比べ、2020年版は19%減と予想されています。2024年までに2019年の水準に戻る国際航空運送協会(IATA)の予測と同じ動きながら、その後の市場成長は、これまでの見通しより鈍化し、リージョナル市場にもコロナ禍の影響が色濃く残る見通しが示されています。

ニュース画像 1枚目:2029年までの旅客需要、RPKベースの予測
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2029年までの旅客需要、RPKベースの予測

2019年版の予想より、10年後の成長が鈍化する要因として、航空旅行パターンの変化を挙げています。主に、(1)企業が外部要因からサプライチェーンを守る意識から、グローバルではなくより身近な場所への新たなトラフィックを生み出すこと、(2)旅客は短距離移動を好む傾向になり、大都市からオフィス分散化することで多様な航空ネットワークが必要になる状況を予測しています。

コロナ禍で航空各社が機齢の古い機材を早期退役させ、需要の増減に合わせた収益性の高い小型機を選定する傾向がすでに現れていると、エンブラエルは指摘しています。こうした動きは、需要回復期からその後にも影響を及ぼし、国内線やリージョナル路線のネットワークの重要性が高まり、150席以下の航空機は早期の市場回復に大きく貢献するとみています。

こうした中、アジア太平洋地域は最も速く成長する地域で、その増加はRPKベースで年率3.4%と予想されています。アジア太平洋地域は、2029年時点で世界全体の37%の交通量を占め、現在は主力のヨーロッパと北米は2地域合計でシェア40%と、巨大市場となる予想に変わりはありません。

ニュース画像 2枚目:地域別の成長予測
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地域別の成長予測

エンブラエルのビジネスに直接関わる150席以下のジェット機の予想では、2019年の8,660機から2029年に9,940機と、1,280機の市場拡大が見込まれています。また、10年後も使用されている機材は4,440機、機材更新は4,420機と予測しています。

このレポート内で日本について、単通路機の搭乗率が70%以下で運航している便が59%を占め、適正な規模の機材導入を進める材料になっていると指摘し、暗に小型化を進めることが適正化の処方の1つと示唆しています。このレポートでは、コロナ前から日本市場の輸送能力は過剰で、バニラエア統合やエアアジア・ジャパンの破綻などに現れていると説明しています。なお、国内線搭乗率は2019年度が70.9%、2018年度が73.1%、2017年度が72.5%で推移しています。

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