ボーイングは2021年2月27日(土)、ワシントン州ペインフィールド(エバレット)で製造した最後のボーイング787型機をロールアウトしました。最後に製造された機体は、全日空(ANA)向けのライン番号で1095でした。787の製造ラインでは、日本航空(JAL)向けのライン番号1057の改修作業が続けられている模様で、この場所はまだしばらく製造関連の作業で使用されます。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、航空会社が旅客需要の急減に対応していることを受け、ボーイングは長期的な業績向上に取り組む事業見直しとして、エバレットでの787製造中止を決めています。エバレットは787初号機の開発・製造、初飛行の地でありますが、3機種のうち、787-8、787-9の2機種の製造を手がけていました。
エバレットではこれまでに約670機が製造されています。ボーイングが中部国際空港に寄付した「ZA001」は2007年7月にロールアウトし、2009年12月15日(火)に初飛行。これを皮切りに787-8は約296機、787-9は約376機、計672機超が製造されています。787の生みの地での歴史は一旦、ここで終えることとなります。今後、787の3機種の製造を一手に引き受けるサウスカロライナ州ノースチャールストン工場では、これまでに約420機が製造されています。
ボーイングはシアトル州のボーイング施設ではレントン工場で737、エバレット工場で747、767、777を効率的に製造する計画です。特に、これらは経営状況の立て直しを左右する重要な機種です。コロナ前までは、757の代替機として製造を検討していた中型旅客機の7M7や797など新規開発ではなく、737 MAX、777Xの開発や製造、納入に注力するようリース会社、航空会社から注文をつけられている状況にあります。ボーイングの戦略的な事業見直しが功を奏するか、これから勝負どころとなります。
The last Everett built 787, line 1095 for ANA, was moved out of the factory at 10 PM tonight. JAL line 1057 is in the factory for rework. pic.twitter.com/tSTGTeNgw5
— Paine Airport (@mattcawby) February 27, 2021