羽田で着陸進入中に別機体の横切り、管制OJT中の事案で再発防止策

羽田で着陸進入中に別機体の横切り、管制OJT中の事案で再発防止策

ニュース画像 1枚目:事案発生時の各機の位置
© 運輸安全委員会
事案発生時の各機の位置

運輸安全委員会は2021年4月22日(木)、着陸体制に入ったスカイマーク機を全日空(ANA)が地上で横切る事案の報告書を公表しました。この事案は2019年6月に発生、当初から管制官が誤って指示を出した可能性が指摘されていました。報告書では、管制の訓練監督者が訓練生に指示したことが重大インシデントに至った要因と指摘しています。再発防止策として、航空局はOJTの中断や再教育を実施しています。

当時、管制塔では訓練生と訓練監督者によるOJTが実施されていました。その際、訓練生がスカイマークに着陸許可を与え、訓練監督者は訓練生が着陸許可を与えてたことを認識していなかったと推定しています。

訓練生は、スカイマークへの着陸許可を与える前、別の機体が着陸したことを確認。着陸機とスカイマーク機には所定の間隔が設定できると判断し、着陸許可を発出。このとき訓練生は、ANA機の存在に気付いていなかった推察しています。

過去には、2012年7月に福岡空港で先行の到着機に続き、2番目に着陸を許可された機体の進入中、滑走路へ進入を指示した重大インシデントが発生しています。この際、再発防止策として、飛行場管制席でストリップを着陸許可の確認を含む到着機のリマインダーとして活用することが全ての管制機関に通知されています。

今回、そのストリップは管制席間で手渡しではなく、新しい空港管制処理システムにより電子ストリップが使用されていました。このため、物理的に移動させる紙ストリップに比べ、電子ストリップの操作は無音で、訓練生が操作する状況を見ていなければ、操作が行われことを訓練監督者が気付くことが難しい状況もありました。

この状況を受け、東京航空局東京空港事務所の東京飛行場管制所は再発防止策として、訓練監督者が他席と調整しなければならない状況が生じた場合のOJT中断、訓練生のOJT開始前の初期訓練カリキュラムの拡充を実施。また、訓練には他席との調整に関連する訓練を盛り込んだほか、訓練監督者にも再教育を行っています。

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