アメリカ宇宙軍、ロケット母機トライスターから打ち上げ成功

アメリカ宇宙軍、ロケット母機トライスターから打ち上げ成功

ニュース画像 1枚目:スターゲイザーに搭載したペガサスXLロケット
© U. S. Space Force
スターゲイザーに搭載したペガサスXLロケット

アメリカ宇宙軍は2021年6月13日(日)、ノースロップ・グラマンの社有機「スターゲイザー」を使い、ペガサスXLロケットの打ち上げに成功したと発表しました。「スターゲイザー」は、ロッキードL-1011型トライスターで旅客機を改修してロケット発射母機として運用されています。

「スターゲイザー」の腹部に取り付けられた3段式のペガサスXLロケットは、ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から離陸したトライスターで太平洋上空まで運ばれて放出。およそ4万フィートの高さで第1段に点火、アメリカ宇宙軍が使用する衛星(Tactically Responsive Launch-2、略称TacRL-2)を軌道投入しました。

ニュース画像 1枚目:スターゲイザーとペガサスXLロケット
© Northrop Grumman
スターゲイザーとペガサスXLロケット

衛星「TacRL-2」の軌道投入は、TacRL-2自体に大きな戦略的な意味はありません。今回は、衛星を打ち上げる速さ、柔軟性の確認が焦点でした。宇宙軍は、宇宙で活動する衛星を即時展開、または交換する要求に対応できる能力が求められており、状況変化への即応性確保が重視されています。

ノースロップ・グラマンは、ペガサスXLロケットの打ち上げ契約から4カ月以内に設計、統合、試験にまで漕ぎ着けました。今回の短時間での軌道投入の成功により、地球上のほぼあらゆる場所から、最小限の地上支援で衛星を運用できる柔軟性が確保できたと説明しています。

アメリカ宇宙軍は今回の打ち上げ能力を検証し、2022年と2023年にも同様の打ち上げを予定しています。宇宙軍の衛星プロジェクトは、宇宙空間の利用にあたり戦術的な機動力、ロジスティクス能力獲得の第1段階です。今後さらに指揮、戦術面でさまざまな要求に対応する能力獲得を目指します。

ニュース画像 2枚目:尾翼エンジンに「STARGAZER」と記されている
© U. S. Space Force
尾翼エンジンに「STARGAZER」と記されている

なお、「スターゲイザー」は、旧オービタル・サイエンシズの保有機で、空中発射ロケット「ペガサス」を上空まで輸送する母機として使用されてきました。元はエア・カナダで1974年から1990年まで運用された旅客機で、1994年6月から空中発射ロケットの母機として運航されています。現在では、L-1011型として唯一の現役機と見られます。

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