49年前の1972年7月27日、当時のマクドネル・ダグラスが開発したF-15イーグルが初飛行しました。アメリカ空軍では1976年に就役し、これまで100回以上の対空戦で撃墜されたことが無い機種として、その機動性能についても高く評価されている機種です。航空自衛隊にも配備されており、F-15J/DJとして現在でも201機を保有する主力戦闘機です。アメリカ、日本以外に、イスラエル、サウジアラビアにも導入されています。
F-15は改良が続けられ、初期型のA(単座)/B(複座)、戦闘能力が強化されたC(単座)/D(複座)があり、空自のF-15J/DJはこのタイプがベースとなっています。マクドネル・ダグラスからボーイングに引き継がれた現在、F-15Eは製造が続けられている機種で、この機体をベースとした韓国向けF-15K、シンガポール向けF-15SG、サウジアラビア向けF-15S/SA、カタール向けF-15QAがあります。
さらに、最新型としてアメリカ空軍向けF-15EXがあり、愛称は「イーグルII」と付けられています。F-15EXは、ステルス性能や電子戦、統合能力が強化されている第5世代戦闘機が登場する中、第4世代に搭載されている電子機器を中心とするプラットフォームを強化した機種です。GPS、レーダー、リンク16など複雑なジャミング環境下でも、相互運用性を確保し、戦闘任務を果たす能力が備えられています。
初飛行からおよそ50年を経た現在、完成度の高い機体を使いながら、パイロットにはデジタル・ヘルメット・マウント・キューイング・システム、イーグル・パッシブ・アクティブ警告生存システム(EPAWSS)など最新システムを搭載することで、F-15は現在も進化を続けています。
空自F-15は、三菱重工業がノックダウン、ライセンス生産し、Jが単座、DJが複座です。F-15Jとして1980年にアメリカで日本に一旦納入、試験飛行が行われた後、再びアメリカ側が1981年に嘉手納基地を経由して、岐阜基地へ「02-8801」「02-8802」の2機をフェリーし、空自に引き渡しされました。現在は周辺国の戦闘機の能力向上に伴い、長年使用されているF-15Jの能力向上が対領空侵犯措置任務でも重要視されています。防衛省は2020年3月末時点で近代化改修に適していない機体として99機、近代化済み94機、近代化改修を実施していない機体8機と公表しています。
最新の近代化改修事業としては電子戦能力の向上、スタンド・オフ・ミサイルの搭載、搭載ミサイル数の増加などが計画されていました。ただし、この計画は、アメリカ側が提示してきた予算が高すぎ、納期も遅れるとして2020年度の予算は執行されませんでした。今後、アメリカ側との協議を含め、空自F-15改修の動向は大いに注目されます。