23年前の1998年7月28日、日本航空(JAL)が初めてボーイング777-300型を受領しました。ボーイング777-200型として1994年6月12日に初飛行した機種の777の派生系で、機体の全長は73.9メートル(m)と、747-400の70.66mより3.2メートル(m)長い旅客機です。2021年3月までに全機が退役。エアバスA350の導入が進み、国内線の大型機の主役が交代しました。
国内線に投入された777-300は、クラスJが78席、普通席は「3-4-3」の配列で422席の計500席を搭載。国内線仕様の747に変わる大型機として7機が導入されました。747-400の国内線仕様はプレミアムクラス80席、普通席466席、計546席を装着しており、これに次ぐ座席数を誇る機材でした。主に、羽田発着の新千歳、伊丹、福岡、那覇線など幹線の輸送を担ってきました。
777-300の1機目は、機体記号(レジ)「JA8941」でした。導入時は、ボディが白、ランドーアソシエイツがデザインした「JAL」ロゴを大きく機体前方に記されていました。黒い文字、JALが長年使用する赤と共にグレーが配色されており、1989年に導入が始まった2代目「鶴丸」塗装で導入されました。さまざまな特別塗装機としても活躍し、2015年に機齢17年目で退役。この機体はすでに部品取りとしてスクラップされています。
777-300は、2015年に「JA8941」を含め3機退役し、さらに2020年度に4機が退役しました。コロナ禍に加え、プラット・アンド・ホイットニー製エンジンのトラブル発生を受け、国内線の幹線を支えた主力機材としては寂しい退役となりました。2021年3月までに退役した機材は、フェリーされることもなく国内で保管されています。
この777-300に変わり、JALは2019年からエアバスA350-900型が国内線に導入しています。747-400D、777-300で500席級の機材ではなく、ファースト12席、クラスJ94席、普通席は「3-3-3」配列の263席、計369席の仕様で、プレミアム需要に対応しています。国内線で格安航空会社(LCC)の運航が一定の認知を得ており、市場の変化に対応し、大量輸送から方針を切り替えたことが機材からも伺えます。
コロナ禍も相まって全機退役した777-300ですが、派生系で航続距離が長い国際線には引き続きボーイング777-300ER型が活躍しています。この機材も2023年ごろには退役が始まり、A350-1000に更新されます。国内線で活躍した777-300、国際線の777-300ERはいずれも、A350-900、A350-1000に更新され、その退役はJALがボーイングからエアバスへ切り替えるだけでなく、大量輸送からプレミアム需要へと時代の変化も表しています。