エアフォース・ワン31年経過、次期大統領専用機747-8の後はマッハ5?!

エアフォース・ワン31年経過、次期大統領専用機747-8の後はマッハ5?!

ニュース画像 1枚目:マッハ5実現を目指す機体デザインと大統領専用機 イメージ
© Hermeus
マッハ5実現を目指す機体デザインと大統領専用機 イメージ

アメリカ合衆国大統領専用機VC-25が1990年8月に納入され、31年が経過しています。VC-25はボーイング747-200旅客機をベースにした機体で、この機種は民間機で6機、軍用を含め17機と、400機超が製造されたうち多くが退役しています。日本は政府専用機として1991年に導入したボーイング747-400型を2019年にボーイング777-300ER型へ更新済みで、VC-25は古い機材となっています。

こうした状況から、アメリカ空軍は747-8インターコンチネンタルをベースにしたVC-25に機種更新を決定。この新型の大統領専用機は、2024年に納入される予定です。ただ、改修作業は遅れが出ているとされ、バイデン大統領は1期目任期中に新型VC-25「エアフォース・ワン」の最初の搭乗客となるか微妙になりつつあります。

アメリカ空軍は次期747-8の導入前ですが、その次の機種としてマッハ5の航空機を大統領専用機としての採用を視野に入れ、将来に向けた検討も並行して進めています。その大統領専用機「エアフォース・ワン」の過去から未来まで、振り返ってみましょう。

ニュース画像 1枚目:DC-6をベースとした大統領専用機VC-118 (ZONOさん撮影)
© FlyTeam ZONOさん
DC-6をベースとした大統領専用機VC-118 (ZONOさん撮影)

アメリカ大統領専用機の導入は第二次世界大戦ごろ、その必要性が強く認識されました。第二次世界大戦中の国際会談に出席するため、1943年1月に当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が民間の飛行艇でアメリカからモロッコまで移動しました。これを機に、大統領専用機の導入に向けた前向きな検討がスタートしました。1947年にはダグラスDC-6をベースとしたアメリカ空軍向けC-118リフトマスターを大統領専用機として改修し、トルーマン大統領時代にVC-118インディペンデンスが導入されました。

ニュース画像 2枚目:ミュージアム・オブ・フライトのVC-137。現在は屋根付きの場所に保管 (tasho0525さん撮影)
© FlyTeam tasho0525さん
ミュージアム・オブ・フライトのVC-137。現在は屋根付きの場所に保管 (tasho0525さん撮影)

その後、1962年にはボーイング707型をベースとした軍用のC-137ストラトライナーをベースとしたVC-137Cが導入されました。この機種は退役しており、国立アメリカ空軍博物館、ロナルド レーガン記念図書館に保管されています。ジェット機となったことで移動時間が短く、かつ長距離を頻繁に行き来できるようになりました。

ニュース画像 3枚目:飛行する現行747-200ベースの大統領専用機 VC-25
© U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. Matt Hecht
飛行する現行747-200ベースの大統領専用機 VC-25

現在はボーイング747-200型をベースとしたVC-25が使用されています。ジョージ・H・W・ブッシュ大統領時代の1990年8月23日に納入され、現在に至るまで31年に渡り運用されています。VC-137Cの最高速度マッハ0.8から、VC-25はマッハ0.9とやや速くなりました。さらに、移動時に万一の事態が発生しても上空から通信機器を利用して指示ができるよう大統領執務室や会議室だけでなく、充実した通信施設が備えられています。

ニュース画像 4枚目:ボーイングカラーの747-8インターコンチネンタル
© Boeing
ボーイングカラーの747-8インターコンチネンタル

次期大統領専用機は、最新のボーイング747型の747-8インターコンチネンタルがベースです。経費削減のため、トランプ前大統領が未納入だった新古品の747-8、機体記号(レジ)「N894BA」「N895BA」の購入を正式に決め、改修が進められています。現在のVC-25と同様の設備などが装備されるとみられます。

ニュース画像 5枚目:マッハ5に向けエンジン開発の実験
© Hermeus
マッハ5に向けエンジン開発の実験

747-8次期大統領専用機の納入前ですが、20年から30年の機体寿命を見越し、アメリカ空軍はその次の大統領専用機として極超音速旅行を実現する取り組み支援するプログラムをスタートしています。アメリカのベンチャー企業のハーミアス(HERMEUS)は、GE製のJ85ターボジェットエンジンを搭載した機体「クォーターホース」開発でマッハ5の運航を目指しています。マッハ5が実現すると、ニューヨーク発パリ行きは90分ほどと、現在の旅客機がおよそ7時間30分で結ぶ5分の1に時間が短縮されます。

国土の広いアメリカ各地を巡り、世界各国の首脳とも頻繁に会合するアメリカ大統領。マッハ5が実現すると「エアフォース・ワン」はこれまでの通信機器なとを備えつつ、頻繁にアメリカ国内や世界各地を移動するようになるかもしれません。同時にこの機体を護衛する機種の発展も期待されます。

この記事に関連するニュース
メニューを開く