ANAとJAL、2030年に世界の航空燃料でSAF10%達成へ協力

ANAとJAL、2030年に世界の航空燃料でSAF10%達成へ協力

ニュース画像 1枚目:ANAの平子社長(左)とJALの赤坂社長(右)
© ANA / JAL
ANAの平子社長(左)とJALの赤坂社長(右)

全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の国内航空大手2社は、持続可能な航空燃料(SAF)の活用促進について共同で市場調査し、レポート「2050年航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて」を策定しました。SAFの有用性や必要量を調査し、日本の航空業界で課題になるSAFの生産体制、流通・活用、諸外国や次世代へのインパクト、さらに2050年のカーボンニュートラル実現に向けてカギになる活動を特定。ANAとJALは、2030年までに世界の航空業界で使用される燃料に占めるSAF10%達成を目指す「2030 Ambition Statement」宣言に共同署名しました。

共同で調査したレポートによると、バイオマスなどから精製されるSAFは、収集・生産から燃焼に至るライフサイクルで二酸化炭素(CO2)排出量を従来の化石燃料より約80%削減できます。このため、航空輸送でCO2排出実質ゼロを2050年に実現するため、不可欠な代替燃料と位置付け。空港などで飛行機に給油する際、既存インフラをそのまま活用できる有用性を指摘しています。

世界を見渡すと、先進的な取り組みが進むものの、SAF生産量は需要の0.03%未満で、量産と普及が急務の課題。航空輸送産業が横断的に協力し、SAFの技術開発、生産・利用の加速により、2030年に最低でも使用燃料の10%をSAFへ移行する目標が必要と量的な観点をまとめています。

ニュース画像 1枚目:SAFの有用性、移行への目標
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SAFの有用性、移行への目標

さらに、2050年に日本の国内線、外国航空会社が日本の空港で使用する国際線を含むSAFの必要量は、最大約2,300万キロリットルと算定。SAFの生産・商用化は、ヨーロッパや北アメリカで先進的な取り組みが続々と出ているものの、アジア圏は発展途上の状況。一方で航空需要はアジア圏で拡大が見込まれ、SAF市場も2050年に約22兆円の巨大市場になると、流通・活用、諸外国や次世代を想定しています。

こうした共同調査を経て、ANAとJALは環境目標達成へ向け、世界経済フォーラムのクリーン・スカイズ・フォー・トゥモロー・コアリション(Clean Skies for Tomorrow Coalition)に参画。まず、2030年までに世界の航空業界で使用される燃料に占めるSAFの割合を10%達成を目指す「2030 Ambition Statement」宣言に共同署名しました。

ANAの平子社長は「産業全体でSAFの普及を着実に進め、青い空を子供世代へ継承していきたい」、JALの赤坂社長は新たなエネルギーのSAFは「多くの人々の協力が不可欠で、協力の輪を拡げていくために、ANAとJALは手を携えながら、日本の産業界に働きかけ」ると、それぞれコメントしています。

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