
アメリカ軍は3月14日、黒海上空で同軍のMQ-9リーパー無人偵察機が、ロシア軍のSu-27戦闘機と衝突し、墜落したと発表しました。一方、ロシア側は「直接の接触はなかった」と主張しています。
事故があったのは中央ヨーロッパ時間の14日7時3分(日本時間同日15時3分)ごろ。アメリカ軍は「我々のMQ-9が国際空域で通常任務を行っていたところ、ロシアの航空機から妨害を受け、衝突し、MQ-9を完全に失うこととなった」と声明で発表しました。
また、ロシアのSu-27戦闘機は衝突が起きる前、数回にわたり、MQ-9に燃料を浴びせ、「無謀かつ環境に配慮していない方法で、プロらしくない態度」をとっていたとしています。
これに対してロシアは、「米軍無人機は『急な方向転換』を行った後に墜落した」とし、Su-27とMQ-9の直接の接触はなかったと主張しています。
今回の事故により、ウクライナ侵攻をめぐってロシア・アメリカ間で緊迫が高まっていることが浮き彫りになっています。
■Su-27戦闘機とは…
Su-27は、旧ソ連のスホーイ設計局が開発した戦闘機。愛称はフランカー。現在、ロシアおよび旧ソ連諸国などで使用され、アメリカのF-15イーグル戦闘機にも匹敵すると言われている高い戦闘性能や長大な航続距離が特徴です。
■MQ-9無人偵察機とは…
MQ-9リーパーはアメリカのジェネラル・アトミックス社製の無人偵察・攻撃機。「リーパー」は英語で「刈り取るもの」や「死神」などを意味します。中高度滞空型無人機で、同じ無人偵察機であるRQ-4グローバルホークや有人偵察機U-2よりも低い高度で情報収集が行えると言われています。
日本の海上保安庁では、非武装型で胴体下部に海上監視用レーダーを搭載した「MQ-9Bシーガーディアン」を海上自衛隊八戸航空基地を拠点に運用しています。