茨城県筑西市のザ・ヒロサワ・シティでは、乗りもの・テーマパーク“ユメノバ“の公開に向けた準備が進んでいます。2023年10月1日からスタートした「茨城デスティネーションキャンペーン(茨城DC)」期間中、“ユメノバ”の先行公開として特定日限定のツアー商品が発売されています。
“ユメノバ”内のレールパークには、2015年まで上野と札幌を茨城県を通過して結んでいた、寝台特急“北斗星”の電気機関車(EF81形)と客車(24系)のほか、東北新幹線で活躍したE2系新幹線を展示。同じく“ユメノバ”内の科博廣澤航空博物館では、南極地域観測隊に同行し、その後置き去りにされたカラフト犬「タロ」「ジロ」を救出したことで知られるシコルスキーS-58(HSS-1)「機体記号:JA7201」や旧日本海軍の零戦「53-122」を展示。また、戦後の航空業務再開のきっかけとなるグライダー公開飛行大会で飛行した「電建号(JA2001)」、1974年に運輸省(現 国土交通省)の飛行検査機として導入され活躍したガルフストリーム「JA8431」と共に、国立科学博物館のYS-11量産初号機「JA8610」が展示されています。
YS-11は、戦後初の国産旅客機として輸送機設計研究協会(頭文字をとって“Y(輸送機)S(設計)”によって開発を開始。日本航空機製造(NAMC)による組み立てが進められ、東京オリンピック開催の1964年に型式証明を取得し、翌年国内線に就航しました。
量産初号機「JA8610」から49号機までは初期型(100型)と呼ばれ、“ユメノバ”に展示されている同機は、初期型の原形を残した貴重な展示機です。50機目以降との大きな違いは、両翼前面と垂直尾翼前面に設置された防氷装置の違いです。初期型はヒーター式で該当部分を温める方式であったものを、50機目以降ではラバーブーツ式(空気式)としました。ラバーブーツは黒色であり、これにより外観上も大きな違いを見ることができます。
「JA8610」は乗降用ドアにも違いがあります。成田空港近くの航空科学博物館で展示されている試作1号機「JA8611」と同様に、現代のほとんどの航空機は前方へ外開きする扉が採用されています。量産8機目以降は、今では珍しい後部へスライドする扉を採用しており、これも大きな外観上の特徴です。
さらに、民間航空会社ではなく「運輸省(現 国土交通省)」へ飛行検査機として納入された「JA8610」は、オプション装備である補助動力装置(APU)が装着されています。機体後部に空気口が設置されているのが特徴的。しかし、APUを装着すると後部貨物室の一部を塞いでしまうことから、多くの航空会社ではこれを採用せず、運輸省や自衛隊機などで主に見ることができました。
このように、貴重なYS-11の中でもさらに希少種である量産初号機。この機会に、一足早く貴重な展示機を見に行ってみるのはいかがでしょうか。
◼️ザ・ヒロサワ・シティのアクセス
【車】・常磐自動車道・谷和原ICから国道294号で約45分
・北関東自動車道・桜川筑西ICから国道50号で約15分
・首都圏中央自動車道・常総ICから国道294号で約35分
【電車】・JR水戸線「下館駅」南口下車、タクシーで10分
・関東鉄道常総線、真岡鉄道「下館駅」南口下車、タクシーで10分
【バス】・JR水戸線「下館駅」北口から“筑西道の駅循環バス”で22分
「廣澤美術館」下車 *全日運行
・JR水戸線「下館駅」北口から“筑西市広域連携バス”で12分
「廣澤美術館」下車 *土日祝日運行