JAXA、低ソニックブーム試験での飛行異常 原因究明と対策状況を発表

JAXA、低ソニックブーム試験での飛行異常 原因究明と対策状況を発表

宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空事業本部は、低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト第2フェーズ試験での飛行異常の原因究明した結果と今後の予定について、2014年3月12日付で公表しました。3月11日に開催された第42回航空科学技術委員会で、報告されたもの。

これは2013年8月にスウェーデンエスレンジ実験場で実施した試験で、制御不能状態の異常飛行があり、調査・対策チームにより原因究明が行われていました。飛行異常の発生原因は「空力モデル不適切」「安定余裕不足」で、飛行破綻は機体モデルの空力特性を使って算出された機体のロール角加速度と実機の値に大きな差異があり、適切なエルロン操舵指令が与えられず、ロール運動の振動が収束したと説明しています。

すでに、見直した空力特性と1回目試験の飛行制御プログラムを用いた飛行シミュレーションを実施済み。実際の飛行で発生した分離後37秒以降の振動、62秒後の制御不能の飛行破綻状態がほぼ再現されており、姿勢制御に十分な安定余裕を持つ飛行制御プログラムへの改修、機体モデルの空力特性の見直しなどの修正が行われています。

JAXAでは先端/後端ブーム低減設計概念の飛行実証は世界初で、再試験に取り組む価値は高く、2015年中にICAO超音速タスクグループに技術提供できれば、ICAOのブーム基準策定検討への貢献は十分可能だとしています。

JAXAでは誘導制御則の改修、チェック体制の強化に加え、確実な試験実施に向けた追加対策としてテレメデータの再点検、試験実施計画の再検討、リスクの洗い出しと識別の再見直しを行い、技術的な準備が整った段階で、JAXAとして再試験の可否について決定するとしています。

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