運輸安全委員会、第一航空に訓練体制の改善を勧告 粟国での着陸事故で

運輸安全委員会、第一航空に訓練体制の改善を勧告 粟国での着陸事故で

運輸安全委員会は2016年12月15日(木)、第一航空が2015年8月28日(金)、那覇/粟国線の101便で粟国空港への着陸時に空港外周の柵に衝突して機体を損傷した事故について、報告書を発表しました。この便は、機体記号(レジ)「JA201D」、DHC-6-400で運航、機長と乗務員1名、乗客12名の計14名が搭乗しており、乗務員1名、乗客10名が軽傷を負いました。この機体は、中破しました。

報告書では、事故発生時に操縦を担当していたPF(Pilot Flying)の副操縦士が接地後、偏向を始めた機体を適切に制御できず、滑走路を逸脱し、空港外周の柵に衝突、機体を損傷したと推定しています。

機体の偏向は、PFがチェックリストを失念し、操縦以外の業務などを担当するPM(Pilot Monitoring)の機長が適切にモニターし、必要な指摘を行わず、前輪が右側に偏向した状態で接地したことによるものとみています。

PFが機体を適切に制御できなかったことは、DHC-6-400のシステムに関する知識が不十分で、偏向を始めた状況をよく理解しておらず、さらに機長が不測の事態発生時の対処が不十分であった可能性について指摘しています。また、PFの知識が不十分な点は、路線訓練に先立って行う座学、知識の定着について訓練の効果の確認が適切に行われていなかったと、報告書で記しています。

これを受け、運輸安全委員会は第一航空に対し、知識不足が事故発生の一因にあるとして地上訓練と飛行訓練の現状を正確に把握し、定められた訓練が適切に実施できるよう訓練の体制を改善するよう勧告しています。同委員会は、第一航空が講じた措置についての報告についても求めています。

なお、第一航空の訓練に関しては、航空局が2016年3月に、運航乗務員の地上訓練の記録改ざん、安全なフラップ角を使用しない運航があったとして、事業改善命令を行っています。これを受け、同社は乗務員の訓練体制の見直し、法令遵守の再教育、安全管理体制が機能する対策と体制の再構築を行う方針を回答しています。

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