運輸安全委員会、航空局に勧告 奈良で空中分解の墜落事故を受け

運輸安全委員会、航空局に勧告 奈良で空中分解の墜落事故を受け

運輸安全委員会は2019年7月25日(木)、奈良県山添村に墜落したTBM-700の事故原因について報告書を公表し、国土交通大臣に対し勧告を実施しました。機長が機体の操縦に必要な知識や技能を有しておらず、適切な操縦操作をできないことが事故原因の可能性を指摘しています。

勧告は、操縦士が技能証明で型式限定を必要としない航空機でも、経験のない型式の航空機を操縦する際、必要な知識や技能を確実に獲得した上で搭乗するよう指導する内容です。

航空局は勧告を受け、等級限定の範囲の航空機でも飛行経験のない型式を操縦する場合、必要な知識と技能の習得を求める注意喚起文書を関係団体に対して発出しました。特に、機体の概要や構造、飛行規程と性能、諸系統とその取り扱い、離陸や着陸、通常時と緊急操作など知識や技能を教育訓練で習得し、安全確保に万全を期すよう求めています。

さらに、必要な手続きを経て速やかに教育訓練に関するガイドラインを設定し、2019年度内をめどに型式限定の設定について考え方を検討します。

ソカタTBM700の事故は、2017年8月14日(月)、レジャー飛行で八尾空港を計器飛行方式で出発し、福島空港へ向かう途中で管制から指示された経路から逸脱し、引き返すと交信したものの墜落した事案です。機長と同乗者1名が搭乗し、2名とも死亡した。

事故報告書は、墜落までヨートリムを離陸位置のまま飛行していたことが分かっており、不適切な位置にあるヨートリムとラダーの影響から、右旋回と急降下が止まらず機体を制御できず、旋回しつつ急降下し、空中分解して墜落したと推定しています。機体の設計運動速度の時速300キロメートルを超え、立て直すために急激な引き起こしを行い、終極荷重倍数限界の5.7Gを超えて空中分解に至った可能性があるとしています。

さらに当該機長は、これまで何回もヨートリムの戻し忘れによる異常な飛行があり、不適切なヨートリム位置が飛行に及ぼす影響へ理解ができておらず、ヨートリム位置のチェックや戻す操作が身についていなかったと指摘しています。さらに、適切な教官による座学や訓練を受けた記録は無く、機体を操縦する必要な知識、技能を有しておらず、勧告とつながりました。

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