アメリカ空軍省のマシュー・ドノバン長官は2019年9月16日(月)、空軍協会主催の航空宇宙・サイバー会議で、アメリカ空軍次期ジェット練習機T-Xの制式名称を「T-7Aレッドホーク」に決定したと発表しました。
愛称の「レッドホーク」は第二次世界大戦中の黒人戦闘機隊「タスキーギ・エアメン」にちなみ、アメリカ陸軍航空隊で黒人による航空機部隊として1941年に編制された、第332戦闘飛行大隊および第477爆撃大隊のことです。アラバマ州タスキーギ飛行場で訓練が行われたことから、こう呼ばれるようになりました。
第332戦闘飛行大隊に所属する戦闘機は、部隊識別塗装として尾翼を赤くしたことから「レッド・テイルズ(赤い尾翼)」の通称が生まれました。1941年から1946年にかけて、タスキーギでの訓練課程を巣立ったパイロットは992名、うち355名が海外の戦場へと派遣され、84名が命を落としています。
ドノバン空軍長官は、この次期ジェット練習機の制式名称を発表する席上、タスキーギ・エアメンの一員として第二次世界大戦から朝鮮戦争、ベトナム戦争に従事したチャールズ・マギー退役大佐をステージに招きました。そして新型ジェット練習機の映像を上映後、T-7Aの模型を披露しました。
「レッドホーク」の名称は、1938年に最初に飛行し、アメリカ陸軍航空隊の最初のアフリカ系アメリカ人戦闘飛行隊の第99戦闘飛行隊によって飛行した戦闘機カーティスP-40ウォーホークへのオマージュでもあります。その後、P-47やP-51にもレッド・テイルが施されました。
T-7Aは、351機の実機と46台のシミュレータなどが92億ドルでボーイングに発注、2023年、テキサス州ランドルフ空軍基地に配備され、T-38を更新する予定です。