丘珠空港の将来像について議論してきた「札幌丘珠空港利活用検討委員会」は、2020年5月に第4回委員会を書面で開催し、滑走路の延長を含む取り組みの方向性を札幌市に提案しました。
丘珠空港は現在、1,500メートルの滑走路1本で運用しています。札幌都心まで約6キロメートルと距離は近いものの住宅街に近接する空港で、利用促進のためジェット化議論が行われた1992年から1996年には騒音問題で空港周辺住民から反対の声があがりました。技術の進歩により、騒音レベルは当時より軽減され、1,500メートルでも離着陸可能なリージョナルナルジェットが開発され、2016年から夏季限定でリージョナルジェット機による定期便運航が開始されています。
ただし、1,500メートルではリージョナルジェットは無雪期でないと運航できず、医療・防災機能を充実させる視点からも、冬季にジェット機が運航できる滑走路を整備することが、空港機能充実に必要な課題として挙げられています。
滑走路が1,800メートルに延伸されると、通年で運航できる48席のATR42に加え、76席または84席のERJ-170/175、セスナ560型サイテーションVメディカルウィング、78席のDHC-8-Q400が基本的に年間を通して運航可能となるほか、180席前後のA320-200も夏季のみ離発着が可能となります。
2,000メートルになると、180席前後の737-800も基本的に通年で離発着が可能となりますが、道路など大規模な支障物件移転が発生してコストの増大や工事期間が長期化することが懸念されます。そのため、委員会ではまずは1,800メートルへの延伸で早期供用開始を目指し、2,000メートルへの延伸は時間をかけて実現可能性を検証していくことを提案しています。
このほか、ターミナルビルも含めたターミナルエリア全体の建物施設群をまちづくりの一つの核として機能を充実させることや2次交通の利便性向上、また地域住民を含む利害関係者との対話と連携を強く意識して、丘珠空港活性化を進めることを強調しています。