エアバスA380型初号機、水素エンジン開発のデモ機に活用

エアバスA380型初号機、水素エンジン開発のデモ機に活用

ニュース画像 1枚目:水素燃焼エンジン実現に取り組むA380「ZEROeデモンストレーター」 イメージ
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水素燃焼エンジン実現に取り組むA380「ZEROeデモンストレーター」 イメージ

エアバスはA380型初号機の機体記号(レジ)「F-WWOW」を、水素燃焼エンジンの実用化に取り組むプログラム「ZEROeデモンストレーター」として活用します。2022年から数年間にわたり、地上・飛行時にさまざまな水素技術を試験し、ゼロエミッションのエンジン開発につなげます。

水素燃焼エンジンを搭載した民間航空機は、2035年までの運航を目指しています。エアバスは、世界初のゼロエミッションの民間航空機の開発に協力。このプログラム実施にあたり、エアバスはGEとサフラン・エアクラフト・エンジンズが出資するCFMインターナショナルとパートナーシップ契約を締結しています。

CFMは、GEパスポート・ターボファン・エンジンの燃焼器、燃料システム、制御システムを水素で動作するように変更します。エンジンのサイズ、ターボ機能、燃料の供給などの性能から、試験用のエンジンとしてGEパスポートが選定されました。アメリカで組み立てられ、飛行試験の前にさまざまな地上試験プログラムを実行後、エアバスに提供されます。

エアバスは「ZEROeデモンストレーター」の機体後部に液体水素タンク4つと、後部胴体の上部に水素燃焼エンジンを搭載します。燃料の液体水素をエンジンに供給するシステムは、エンジン内での燃焼前に液体水素からガス状に変化し、供給されます。この搭載位置は、A380の4発エンジン以外に動作を確認できるよう、胴体の後部に取付けられます。

ニュース画像 1枚目:水素エンジンと4つの液体水素タンク
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水素エンジンと4つの液体水素タンク

ゼロエミッション航空機の実現まで、水素を燃料としたエンジンは地上と飛行試験を実施していきます。エアバスは、水素推進システムの要件定義、飛行試験の監督、飛行中の巡航段階で水素燃焼エンジンを試験するためのA380提供が主な役割です。液体水素タンクを備えたA380飛行試験機は、フランスとドイツの施設で各種試験を実施します。

エアバスは、A350-1000型の開発時にもA380型を使用しました。A380は4発エンジンを搭載する旅客機で、安全かつ高い信頼性を備えています。このため、ゼロエミッション技術の試験でも広い用途に活用でき、水素の性能を分析する水素推進システムの実験機器を搭載する際も、広い客室がある大型機にはメリットも多くあります。

ニュース画像 2枚目:「水素燃焼エンジン」インフォグラフィック
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「水素燃焼エンジン」インフォグラフィック
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